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名画座とドン・ブライアント
2016 / 05 / 28 ( Sat )
古い日本映画が大好き、今日は私の行きつけの映画館を紹介したい。
映画は本来大きなスクリーンで観るべきもの、DVD となっていない面白い作品がたくさんあるし、興味のある方、たまには映画館にも足を運んでみたらどうでしょう、昼食代程度の負担で楽しめますよ。
料金、マップ、上映予定等は各館のホーム・ページ等で確認ください。

① ラピュタ阿佐ヶ谷 (東京都杉並区阿佐ヶ谷北 2-12-21)

01 laputa asagaya oizumi
4 月 10 日 ~ 6 月 11 日 「東映現代劇の潮流Ⅱ」

昭和の日本映画が中心、B 級作品が多く、「これぞ名画座」 といった感じ、私のニーズに最もマッチしている映画館だ。1 本立て上映、席数が 50 とキャパシティーが小さい。よって、まれに開始ぎりぎりに行くと満員で入れないことも。待合室 (喫茶もできます) がゆったりとしていて清潔、アット・ホームな感じで気持が良い、学生さんなのか、スタッフの方々も対応が丁寧です。
― ここで観たお気に入り -
「悪の階段」 1965 年、東宝、鈴木英夫監督
山崎努、団令子、西村晃出演。知られざる傑作スリラー。邦画で、これほどフィルム・ノワールという言葉がしっくりする作品ってないんじゃないかな。7 月 3 日、池袋新文芸坐にて再上演予定、ダークなクライムものが好きな方、観逃すべからず。
「二匹の牝犬」 1964 年、東映、渡辺祐介監督
毒がいっぱいの悪女もの、スタイル抜群で妖艶な小川真由美さん、ヴァンプぶりでは真由美様を圧倒する緑魔子様の存在感もはんぱじゃない。続くお 2 人主演の 「悪女」 も必見だ。
「鶴八鶴次郎」 1938 年、東宝、成瀬巳喜男監督
成瀬監督作品ではマイ・ベスト、これまで見た日本映画の中でも五本の指に入る。女を撮った成瀬監督だが、これはまさしく男の物語、山田五十鈴も良いが、長谷川一夫がさらに良い。泣ける、男の心細さや優しさをこれほどストレートに感動的に描いた映画を私は観たことがない。
「果しなき欲望」 1958 年、日活、今村昌平監督
渡辺美佐子、西村晃、殿山泰司、小沢昭一、加藤武、この人たちが出てきて、面白くないわけがない、サスペンス・コメディの傑作。監督は人間の欲を描いた喜劇としたかったのでしょう。私はどん底のスリラーとして楽しみました。
「人間に賭けるな」 1964 年、日活、前田満州夫監督
以前本ブログで紹介した 「競輪上人行状記」 の翌年の作品で同じく寺内大吉さん原作。アンチ・ヒロインの渡辺美佐子さん、憑かれた女をやったら天下一品、本作はそんな彼女の代表作だ。
「首」 1968 年、東宝、森谷司郎監督
正木ひろし 「弁護士」 が原作。官憲の横暴と不正に対する怒り、法を犯してまで真相を追い求める主人公の異常な執念に圧倒される。社会派映画でありながら、優れたスリラー映画でもある。昔は、こんな凄い映画があったんだ、小林桂樹と南風洋子の熱演も素晴しい。

② 池袋新文芸坐 (東京都豊島区東池袋 1-43-5 マルハン池袋ビル 3F)

02 ikebukuro shinnbunngeiza
5 月 16 日 ~ 6 月 2 日 「成瀬巳喜男、静かなる、永遠の輝き」

邦画も洋画も。古い作品が多いが、新しいものも上映されます。基本 2 本立て 1 日上映、266 席、その日見逃すと、次が無いのが少し困るかな。特集、企画が入り乱れ、作品数と作品の幅ということでは全国一の映画館かもしれない。
― ここで観たお気に入り -
「殺し屋人別帳」 1970 年、東宝、石井輝男監督
「網走番外地望郷篇」 を下敷きにしているようだ。一応任侠映画の体裁なれど、やりたい放題です、アクションあり、おセンチなところもあり、ギャグもあり。主役からチョイ役までキャラクターが明確で存分に目立っている。渡瀬恒彦の 「趣味じゃねぇ」 も良いし、「モンマルトルの鉄」 佐藤允さんも不思議、口笛で 「フランシーヌの場合は」 ですよ、サービス精神旺盛で石井監督のセンスにまたまた脱帽。
「イチかバチか」 1963 年、東宝、川島雄三監督
伴淳三郎、ハナ肇、高島忠夫出演、川島監督の遺作。このテーマ、もしかすると、川島監督はチェスタトンの 「ブラウン神父」 や 「詩人と狂人たち」「ポンド氏の逆説」 を愛読していたのかもしれない。うさんくさい地方政治家ハナ肇のキャラクターがとりわけ興味深い。
「おんなの細道 濡れた海峡」 1980 年、にっかつ、武田一成監督
舞台は青森近辺だろうか、小雪舞う冬である。主人公の三上寛はいたって普通な小心純情男、彼が出会う女三人三者三様の生き様と男たちの優しさ。いわゆるロマンポルノ作品とは一味も二味も違う、もう共感しまくり、ジャンル的にパスしている映画ファンにも観てもらいたいちょっと良い映画だ。
「驟雨」 1956 年、東宝、成瀬巳喜男監督
倦怠期にある夫婦をユーモラスに描いている。さりげない面白みがあって大好きな映画。原節子と佐野周二はいつも噛み合っていない、仲が悪いのかと言うと、そういう噛み合ってないところにお互いが突っ込みを入れることで楽しんでいる風でもある。ケンカをするでもないし、かといって和気あいあいというシーンも無い。旦那が会社をリストラされるなんて、深刻な状況のはずなのに、2 人に暗さは全くない。物語の最初、原の 「お話というのはあるものじゃなくて、するものよ」 という言葉が印象的、最後の紙風船を 2 人でつつき合うシーンも秀逸だ。

③ 神保町シアター (東京都千代田区神田神保町 1-23)

03 jnnbouchou theater
5 月 7 日 ~ 6 月 17 日 「ゴジラ映画総進撃」 (シリーズ全 29 作一挙公開)

古本屋街にあります。2 階が吉本興業の神保町花月です。基本的に古い邦画、席数は 99、席もゆったり、勾配もとってあって、どの席でも画面が見やすいのが良い。4 館の中では唯一会員制がありません。
― ここで観たお気に入り -
「恋の画集」 1961 年、松竹、野村芳太郎監督
桑野みゆき、川津祐介主演。佐野洋原作のユーモア・ミステリ。どうしようもなくこんがらがって、最後は全員集合、そこからのドタバタした辻褄合わせが最高に面白い。弁護士役の加藤嘉さん、おとぼけでがめつくて図々しくて、参りました。
「裸女と拳銃」 1957 年、日活、鈴木清太郎(清順)監督
私が観た日活アクションものでは最も古い作品。アメリカのハードボイルド映画や小説が上手く消化されている。巻き込まれ型で最初はマッギヴァーン風、真相へのアプローチや船上でのクライマックスなどは、ハメットやチャンドラーの正統ハードボイルドの雰囲気。探偵役の昔の二枚目水島道太郎も悪くない。さらに、謎の女白木マリ(後の中村主水の妻)さんが驚くほど魅力的、個性的な容貌でスタイルも日本人離れ、下着姿のシーンがあってドキッとしますよ。

④ シネマヴェーラ渋谷 (東京都渋谷区円山町 1-5 KINOHAUS 4F)

04 shibuya cinemavera
5 月 21 日 ~ 6 月 17 日 「シネマヴェーラ渋谷と愉快な仲間たち」
斎藤工、柄本佑、小西康陽、松江哲明セレクション

邦画も洋画も、6 対 4 くらいかな。基本的に 2 本立て上映、会員だと 1,000 円なので、1 本 500 円は一番安い。席数は 142 席、かなりマイナーな作品やインディペンデントなものも上映、意外な出会いがある映画館だ。
― ここで観たお気に入り -
「河口」 1961 年、松竹、中村登監督
井上靖原作は相性が悪いのだが、これは別。岡田茉莉子さんは貧困ゆえに金持の妾になるが、女画商として自立の道を歩み始める。彼女をサポートするのが、美術オタクの山村聰さんだ。演出、演技が素晴しい、岡田さんの女心が手にとるように分かります。ちょっと微妙な山村さんとのコンビも笑えて、やけくそなラストはけっこうインパクトあり。7 月 10 ~ 16 日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて再上映予定。
05 atalanye
「アタラント号」 1934 年、フランス、ジャン・ヴィゴ監督
公開当時、配給会社により 24 分も短縮、タイトルも当時のヒット曲 「流れゆく艀」 に変更されるという憂き目にあうが、1990 年、オリジナルのフィルムが見つかったことにより、カンヌ映画祭で復元公開、絶賛された作品。セーヌ川を行き来する艀船が舞台、愛し合う若い男女のすれ違いとハッピーエンド、テーマに深みはないが、描き方が素晴しくチャーミング。80 年以上も前の映画というのが信じられない。美しくみずみずしく、楽しく、ちょっと不思議、官能的でもある、映画でしか味わえない感動に満ち満ちた作品。これに胸キュンしていては、隠れロマンチストであることがバレバレでちょっと恥ずかしい、バケツの中に頭を突っ込んだりはしないけど、好きなんですね。他愛も無いとおっしゃる方も、ミシェル・シモン演ずるジュール爺さんの不思議には驚くはず。それから、ストーリーとは関係なく子猫がうじゃうじゃ出てきます、これがなんとも可愛らしい、よって猫好きの方にもお薦め。
06 mesuichiba
「(秘)色情めす市場」 (マルヒシキジョウメスイチバ) 1974 年、日活、田中登監督
芹明香主演の日活ロマンポルノ。ドキュメンタリー的なモノクロ映像 (一部カラー映像が入るが)、暑くジリジリする釜ヶ崎、タイトルには意味が無い、セックス・シーンも多いが、性的興奮を感じる人はほとんどいないはず。生々しい街の姿と主人公の生き様に圧倒される。この作品、いわゆるカルト映画で熱狂的ファンも多い。私にはこれまでの経験や価値観では対処できないところもあって戸惑う場面も、ただ、観ておいて良かったのは間違いない。19 歳の娼婦トメ、「うちなぁ、なんか逆らいたいや」 と言いながら全てを受け入れる。彼女は逃げない、頑固なまで自己を通し生き抜くことに貪欲だ。作品賞は無理だが、オールタイムの主演女優賞なら、本作の芹明香に 1 票投じたくなった。

SOUL についても書いておかなきゃね。
Don Bryant の 23 日のファースト・ステージを観ました。
登場の瞬間、イメージしていた姿や顔と違っていて、最初はアナザー・ドン・ブライアントかと心配に。小柄で陽気なおじいちゃんといった風でした。声は間違いなかったので、一安心。
40 分くらいで短かったし、バックもホーン無しでしたが、元気いっぱい気合十分の歌いっぷりで素晴しかった。「アイル・ゴー・クレイジー」 には涙もちょちょ切れ大感激、ベスト・パフォーマンスは 「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」 かな、圧巻、これはマジに凄かった。わざわざ日本までやって来てくださったドン・ブライアントさんに感謝、良いものを観させていただきました。
プレイ・リストは次のとおり
Try Me
Looking Good
I Can’t Stand The Rain
Nickel And A Nail
Everything’s Gonna Be Alright
I’ll Go Crazy
Well Alright
Dixie Chicken
2 日目も曲目は同一だったようです。欲を言えば、もう少し HI の曲をやってほしかった。
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とくせん歌謡曲 2
2015 / 10 / 20 ( Tue )
めっきり日が暮れるのが早くなりました。秋の夜長に歌謡曲。

1 aoe mina koukotsu no blues
青江三奈 「恍惚のブルース」 (Victor SV-416)
1966.5 川内康範作詞、浜口庫之助作曲
演歌 「長崎ブルース」 や 「池袋の夜」 のムーディーなやるせなさも好きだけど、これは別格。昭和歌謡の名曲中の名曲、オリジナリティも傑出している。1995 年のアルバム 「passion mina in N.Y.」 で青江さん自身が、「私がこの曲で青江三奈になりました」 と言っていた。浜口先生のベスト・ワークの一つだろう。詞が古びてしまった分、曲の素晴しさが一層際立つ。みずみずしく官能的、実にたおやかで優しい青江さんのボーカルに出会えます。
2 nami etsuko love samba
奈美悦子 「ラブ・サンバ」 (Victor SV-738)
1968.8 なかにし礼作詞、大野正雄作曲、寺内真三編曲
西野バレエ団って知ってます? バレエなのにミニスカでゴーゴーですよ、甘酸っぱくて眩しかった。でも、テレビで奈美様が一人で歌っているのを見た記憶は無い。これはサード・シングルの B 面だそうだ、後年、「昭和ダンス・パーティ」 というオムニバスで初めて聴いて、底抜けに明るいサウンドに一発でやられてしまった。他愛が無いと言うなかれ。キュートな声が可愛らしい、歌詞がちょっと挑発的なところがさらに楽しい。ナイスなバック・コーラスは 「妖怪人間ベム」 のハニー・ナイツであります。
3 hirota mieko kawaii uso
弘田三枝子 「可愛い嘘」 (Columbia P-37)
1968.9 橋本淳作詞、筒美京平作曲
「涙のドライブ」 と並ぶマイ・フェヴァリット。モータウン・サウンドを取り入れた曲として有名かも。ミディアム歌謡の傑作、シルヴィアにも負けない甘え声にもうメロメロ。
4 nakao mie ikutsumo ikutumo mewotojite
中尾ミエ 「いくつもいくつも目をとじて」 (Victor SV-1038)
1969.3 橋本淳作詞、筒美京平作曲
中尾ミエさん、ミュージカル映画 「君も出世ができる」 では、弱冠 18 歳でフランキー堺さん等と共演、シャボン玉ホリデーでは、ハナさんや植木さん相手に MC 的なこともやっていたし、タレントとしての才能も凄かった。勿論、歌の上手さも文句なし、カヴァー曲だけじゃないというところを見せつけてくれるのがこの王道歌謡、ミッドテンポに揺れるボーカル、女っぽさも満開だ。
5 chiko to beegles shinnjuku madomoazeru
チコとビーグルス 「新宿マドモアゼル」 (Victor SV-879)
1969.9 橋本淳作詞、筒美京平作曲
3 曲続けて橋本淳と筒美京平コンビ、この 2 人の相性は抜群だ。これは、ヒットしなかった名曲としてコレクター人気も高いシングル盤。チコのボーカルはハスキーで粘りが強い、歌えすぎるので GS というより演歌です。起承転結も明瞭でリズミックなナンバー、鬱なんだけどコブシのきいたマドモアゼル・チコの蠱惑のボイス、これっきりの出会いのような儚さに胸がうずいてしょうがない。
6 tutui mari ninngyono koi
津々井まり 「悪なあなた」 (RCA JRT-1065)
1970.4 山上路夫作詞、村井邦彦作曲、馬飼野俊一編曲
「ワルな」 です。これが B 面なんて、こっちを押していたら昭和歌謡史に残る曲になっていたかもしれない。フェロモンは控えめ、しっとりとタメのある歌いっぷりがチャーミングでソウルフルだ。ついつい何度も針を落としてしまって、中毒性が強いミディアム歌謡。バッキングにも耳を澄ましてくだされ、ホーンも良いけど、軽快なピアノにフリーなギターが最高。
7a shaneru five wakkanai blues
7b shaneru five wakkanai blues 2
原みつるとシャネル・ファイブ 「稚内ブルース」 (King BS-1390)
1970.7 藤本卓也作詞作曲
風景ジャケでは出色の出来。「ダイナミック演法」 とあり、何の事だか分からず、ジャケットを開いてみた。「ヒット曲は知床から稚内に移動している」 「グループは長崎から北海道へ」 なんだか変な予感が。ムードコーラス+ど演歌、前川清さんとクール・ファイブ路線です。我慢して 3 番まで聴いて下さい、「稚内 わからない 稚内 わからない ああ もう わからない」 って、藤本卓也さんのセンスに脱帽です。
8 nagisa yuko amenohino blues
渚ゆう子 「雨の日のブルース」 (Toshiba TP-2500)
1971.8 橋本淳作詞、筒美京平作曲
「京都の恋」 「京都慕情」 の 2 曲でベンチャーズと京都のイメージの渚さんだが、マイ・ベストはこの曲。シックで軽やか、甘く透明感のある声、実に魅惑的なアップテンポ・ナンバーだ。「暗いブルースをくちづさみ むかし別れた人のため 熱い恋の誘惑に耐えている」 というところがたまらない。
9 momoi kaori roppongi shinnju
桃井かおり 「六本木心中」 (CBS SONY SOLB 59)
1973上村一夫作詞、中村泰士作曲、ナレーション : 桃井かおり & 小倉一郎
アン・ルイスの同名曲 (1984年) とは違う曲で、桃井かおりのデビュー・シングル、「赤い鳥逃げた」 「エロスは甘き香り」 に出演していた頃かな。ブームとなった上村一夫の 「同棲時代」 をモチーフとしたアルバムからのカッティングで、小倉一郎とのナレーションで始まる。歌手としても女優としても私のタイプではないのに、この曲だけは特別。ウブな歌声にシュールな世界、若さゆえの純真さとでも言ったら良いのか、ここには失ってしまって取り返しようもない大切なもののカケラがあるような気がしてならないのだ。
10a agata morio midori mako
10b agata morio midori mako 2
あがた森魚、緑魔子 「昭和柔侠伝の唄 (最后のダンスステップ)」 (Bellwood 23)
1974 あがた森魚作詞作曲
ジャケットはバロン吉元。あがた森魚さんは、昭和の時代に明治大正を夢見ていた稀有な存在。それにしても、緑魔子さんとデュエットするなんて羨ましい。魔子さんの最初の台詞で 「ブルースとタンゴぐらいは踊れます」 とあるが、この曲を聴くと、小学校のフォークダンスを思い出す。好きな女の子の手が握れる唯一のチャンス、ドキドキと甘く切ない。「踊ろうか、踊りましょう、せめて今宵限りでも」 刹那な夢の瞬間です。
11 natsuki mari natsunoseikasira
夏木マリ 「夏のせいかしら」 (King BS-1840)
1974.6 安井かずみ作詞、馬飼野康二作曲
「絹の靴下」 「お手やわらかに」 でくすぶっていた夏木マリ様のパワーが全開に、高速ぶっちぎり総天然色といった感じで、ゴージャスにしてグレート。これで 22 歳とは、流石です。
12 go hiromi hananoyouni torinoyouni
郷ひろみ 「鳥のように花のように」 (CBS SONY SOLB 235)
1975.4 石坂まさお作詞、筒美京平作曲
郷ひろみというキャラクターに最もマッチした楽曲ではないだろうか。ドリーミーでファンタスティック、潔いくらい何の感慨もわかないというのが凄い、ツーステップ歌謡の大傑作と断言してしまおう。
13 tonosama kings keikono mambo
殿さまキングス 「けい子のマンボ」 (Victor SV-7025)
1980 たかたかし作詞、吉田正作曲
ポップスの要素も強くて歌謡グループとして特異な存在。これは特にお気に入り、ラテン歌謡の知られざる名盤だ。世のケイコ様には申し訳ないが、カラオケで歌えば、めちゃくちゃに盛り上がること確実。こんなに軽薄な曲を吉田正先生が書いているというのもうれしいね。宮路おさむのボーカルは唯一無二、プロパーの歌手には無い庶民的なディープ感覚に驚かされる。
14 kumagaya miyuki dancing doll
熊谷美由紀 「ダンシング・ドール」 (CBS SONY 06SH 767)
1980.5 山崎ハコ作詞作曲、後藤次利編曲
現在の松田美由紀さんであります。18 歳で吹き込んだデビュー盤にして唯一のシングル盤。曲を書いている山崎ハコさんの当時のイメージとは真逆のポップでリズミックなダンス・ナンバー。和のテイストの曲に洋のアレンジが心地よく決まっている。アイドル歌手とは一線を画す素な歌いっぷり、震えるような素敵なフレーズが多くて、不思議な幸福感に包まれる。いつでも永遠不滅の少女に出会える、私にとってとりわけ大切な音盤だ。
03:56:41 | MY FAVORITE THINGS | コメント(0) | page top↑
クレイジーキャッツ
2015 / 04 / 15 ( Wed )
牛乳石鹸提供の 「シャボン玉ホリデー」 は、私にとって、最初の大人な TV 体験。クレイジーキャッツの笑いや歌は、当時の小学生にとってはかなり不思議でインパクトも強烈、「およびでない」 と 「ガチョーン」 は、イヤミの 「シェー」 と並ぶ必殺のギャグであった。クレイジーキャッツについては熱心なファンも多いし、研究や評論の対象にもなっており、私が何か書くのも気が引けるのだが、鑑賞可能なクレイジー映画も全部観てしまったし、大人になってますます好きなので、今でも出会えるクレイジーキャッツについて、どうしても何か書いておきたくなった。しばしお付き合いくだされ。

まずは歌部門、クレイジーキャッツについて知らないという若い方でも、分かっちゃいるけどやめられない 「スーダラ節」 くらいは聞いたことがあるのでは。
1 crazy cats cd hondaraban 1
2 crazy cats cd hondaraban 2
クレイジーキャッツ HONDARA 盤
これを聴いていると、つまらないことで悩んだり、自分ではどうすることもできないことを心配したり、そんなことがどうでもよくなる。なぜか元気に、もう理屈ではない。良識なんかクソ食らえ、世の中がこんなにお気楽であったならという願望を超えて、植木さんの歌には摩訶不思議な説得力とパワーがある。発表順に全 43 曲、2005 年、クレイジーキャッツ結成 50 年記念で企画された 2 枚組ベスト盤、ライナーは佐藤利明氏。クレイジー・ファンでなくとも昭和の音楽に興味がある方なら、持っておきたいアルバムだ。
こだわりの私のベスト 5
① 馬鹿は死んでも直らない (塚田茂作詞、萩原哲晶作曲) 1964.6.20
昨今の 「お馬鹿キャラ」 という使われ方が残念でならない。馬鹿というのはキャラクターではなくて、あり方なのですよ。「馬鹿」 とは豊かなニュアンスを持っている言葉、恥ずかしながら、好きな女性から 「馬鹿ね」 と言われたい願望が、でも、なかなか叶いません。微妙な感情表現も楽しく、おいちゃんの森川信さんが寅さんに対して愛情を持って嘆く 「ばかだねぇ」、人見明さんが植木さんの C 調ぶりにあきれて発する 「バカ」 なんて、好きですね。これは植木さんが歌う馬鹿賛歌、馬鹿という言葉が醸し出す不思議な連帯感、日本全国馬鹿になれというむちゃくちゃに楽しい曲、おそらくクレイジーの中で最もダンサブルな曲。作詞は青島幸男だとばかり思っていたのだが、塚田茂さんだったんですね。
② ハイ それまでヨ (青島幸男作詞、萩原哲晶作曲) 62.7.20
一番記憶に残っているクレイジー・ソングがこれ。ソフトで甘いフランク永井調からチャビー・チェッカーも真っ青なツイストになっちゃう。子ども心にあり得ない展開に驚きを覚えたものである。「女房にしたのが大まちがい」 の 3 番が大好き、情けない情景が浮かんでくるようで、まさに泣けてくる。萩原哲晶 (ひろあき) 先生の編曲も素晴しくて聴きどころ。
③ だまって俺について来い (青島幸男作詞、萩原哲晶作曲) 64.11.5
「みろよ青い空白い雲」 「みろよ波の果て水平線」 「みろよ燃えているあかね雲」 の詞とメロディーが秀逸、このおおらかなフレーズが無ければ、これほど爽やかな無責任ソングにはなっていなかっただろう。弾けっぷりも最高、笑いながら歌う植木等唱法の極致である。
④ ホンダラ行進曲 (青島幸男作詞、萩原哲晶作曲) 63.4.20
戦後が生んだナンセンス・ソングの最高峰。昭和のメロディーも楽しく、植木さん、ハナさん、谷さんが交互にリードをとり、クレイジー全員で盛り上がる。ハナさんのパートがなんだか好きだな。
⑤ シビレ節 (青島幸男作詞、宮川泰作曲) 66.3.15
過激度では、これがナンバー・ワンかもしれない。ザ・ピーナッツの 「恋のバカンス」 などナベプロの女性歌手の曲を手掛けていた宮川泰先生が満を持してクレイジーに提供した名曲。流れとしては 「馬鹿は死んでも直らない」 と同一路線、「馬鹿」 には一歩譲る出来かな。本アルバムではこれまでの復刻 CD で自主規制から無音となっていた部分も完全収録。
なお、このホンダラ盤と同時に 1967 年以降のクレイジー・ソングを網羅した HARAHORO 盤がリリース されており、谷啓さんの 「あんた」、ハナさんの 「アッと驚く為五郎」 などが収録されている。

3 crazy cats cd movies 1a
4 crazy cats cd movies 1b
5 crazy cats cd movies 2a
6 crazy cats cd movies 2b
クレイジームービーズVol.1 & 2
先のアルバムと同じく祝 50 周年企画、クレイジー映画音楽の集大成、ライナーは佐藤利明氏。1960年 の 「竜巻小僧」 から 1971 年の 「日本一のショック男」 までの 46 作品、曲数は 198 曲 (テーマ曲や別テイクを含む)。東宝だけでなく、日活、大映音源も収録、まさに快挙と言うしかない。シングル・リリースがあるものも、映画のために別途録音されており、レコードとは歌詞も微妙に違っていたりする。クレイジーがいっぱいいっぱいに詰まっていて、実に楽しく、先の HONDARA 盤よりもこちらを愛聴しているくらい。封切り順に収録、ライナーノーツには映画に関するコメントもあり、音楽とともにクレイジー映画を振り返ることもできる。特にコメントしておきたいものが次の 2 曲。
① 上を向いて歩こう (永六輔作詞、中村八大作曲) 62.10 「若い季節」 より
NHK の TV ドラマの映画化。植木さんが歌う昭和の名曲。数あるカヴァーの中でこれが一番だと思っている。最初のワン・フレーズは坂本九ちゃん、これを受けて植木さんが歌い出す。かすかに伴奏が聞こえるが、アカペラ風。わずか 59 秒、優しさがじんわり沁みて、胸がズキズキ疼く。これはレコードでも歌ってほしかった。植木さんのソロ LP には 「ハイおよびです!!」 と 「女の世界」 があるが、スタンダードやポップスのアルバムが無いのが残念で仕方が無い。
② 静かな午后のひととき (佐々木守作詞、宮川泰作曲) 69.11 「日本一の断絶男」 より
日本一の男シリーズ第 7 作のテーマ曲。軽やかでソフト、Dun Dubi Dubi Yah とフレンチ・ポップス風なのだが、とんでもない世界が待っている。2 バージョンあって、静かに狂気を歌った別テイクの方が好き。クレイジー・ソングの中でも超異色作、映画のビジュアルも強烈でありました。

クレイジー映画
東宝のクレイジー映画は全部で30本。1962 年の 「ニッポン無責任時代」 とその続編 「ニッポン無責任野郎」 が当たり、63 年、「日本一の色男」 から 「日本一の男」 シリーズが始まる。無責任とは決別、高度成長経済を背景にしたスーパー・サラリーマン植木等のサクセス・ストーリーだ。71 年の 「日本一のショック男」 まで毎年 1 作公開され、後期の作品はサラリーマン喜劇の枠を超えたものとなっている。また、63 年の 「クレージー作戦先手必勝」 から 「クレージー作戦」 シリーズも始まる、クレイジー全員が出演し、大騒動を巻き起こすというもの、音楽コントもあって、香港、マカオ、ハワイ、ラスベガス、メキシコと海外ロケ作品も多い、計 14 本。他に 「クレージーの殴り込み清水港」 他の時代劇コメディが 4 作。メガホンをとっている監督は、古澤憲吾が 13 本、坪島孝が 11 本で、この 2 人が断トツ。ここで、特に好きな3作品について紹介しておこう。

7 musekininnjidai
「ニッポン無責任時代」 1962年 東宝 監督:古澤憲吾 脚本:田波靖男&松木ひろし
東宝クレイジー映画の第一弾。本作を語らずして、クレイジーキャッツ、とりわけ植木等について語ることはできない。株の買い占めによる会社乗っ取りの混乱に乗じて、C 調男が出世するというもの。これまでのサラリーマン喜劇の定石を覆した問題作だが、公開当時、評論家からは全く無視されたようだ。とにかく、植木さん扮する平均 (たいら・ひとし) の口八丁手八丁ぶりに圧倒される。失敗もいつのまにかにプラスに転じてしまうという強運の男でもある。平気で嘘はつくし、うさんくさくて嫌な奴だが、なぜか女性からの支持は絶大。バイタリティに満ち溢れ、喜怒哀楽の怒と哀をどこかに置き忘れたような無敵ぶり。出世が第一、けっして弱者の味方ではない、損得勘定も的確だ。組合結成や上司の息子と娘の結婚を巧みに利用するところはかなりな高等戦術である。古澤憲吾監督のハイ・テンションでハイ・テンポな突撃演出に騙されてしまうが、この男の行動はけっして気持の良いものではない。植木さん以外の人がやったら、こうすんなり笑えないのではないか。植木さんご本人は真面目でこつこつ着実にやって行く人だろう、情にも厚く、努力を惜しむ人でもないだろう。そんなことは画面からは当然分からないのだが、たんなる軽薄ではない、不思議なエネルギーが発散されているのである。続く 「ニッポン無責任野郎」 では、植木さんの悪漢ぶりはさらにエスカレート、使い込みはするは、会社にペテンをしかけるは、もうやりたい放題。大逆転の結末には 「ふざけすぎ」 と呆れる人も多いのではないだろうか。ということで、この最初の 2 作についてはめちゃくちゃ面白いわりには好きになれないところも多い。それに、「無責任」 という言葉に何となく違和感も覚えていた。どこが無責任なのかと思っていたら、先に紹介した 「クレイジームービーズ」 の解説に、「無責任」=「努力を美徳とする日本人を徹底的に揶揄した究極の個人主義」 とあり、納得した。戦後、ぶち壊れた価値観、さらに平和憲法で戦争放棄を宣言した日本だったからこそ、こんな喜劇が成立しえたのかもしれない。随所で歌が入り、忘れられない印象的な場面が多いのもクレイジー映画の魅力、団令子さんと植木さんの遊園地での世界一周ハネムーン (無責任野郎) は、クレイジー映画で最も好きなシーンだ。なお、「ニッポン無責任時代」 のシナリオについて、青島幸男が 「アメリカのハードボイルド小説みたいなところが、とてもよかった」 と言ったそうで、これはかなり面白い視点である。

crazy danzetsuotoko
「日本一の断絶男」 1969年 東宝 監督:須川栄三 脚本:田波靖男&佐々木守
「日本一の男」 シリーズ第 7 作、植木さんのクレイジー映画ではマイ・ベスト。日本一郎 (ひのもといちろう) は氏素性もはっきりしない降って湧いたような男、住所不定、心配事と言ったら、今夜のねぐらといった按配。そんな男が、成り行きで潰れそうな広告代理店にもぐりこむ。後はあれよあれよといった展開、華麗に転職、キャリアアップして新ビジネスを起業するが、これも放り投げ、何故かヤクザの客人に、とうとう出入りに巻き込まれてしまう。まずは、植木さんのキャラクターが興味深い。C 調ぶりやピンチもチャンスに変える機転の鋭さはこれまでどおりだが、無責任時代の上昇志向はもちろん、厳しいサラリーマン社会を生き抜く気概も無い。義理も人情もかえりみない断絶男とうそぶくが、地位も名誉もお金も、そして女性にもあまり興味が無いようで、ただ楽に生きていきたいというのが彼のポリシーのようだ。最後はお約束のサクセス・ストーリーかと思ったら、これまでとは逆パターンの結末。私の大好きな緑魔子さんが共演しているのも嬉しい。やんちゃで可愛らしくて、ちょっと不思議、植木さんと波長があっているということでは、クレイジー映画最強のヒロインかもしれない。私の苦手な東映任侠映画のシチュエーションを借り、植木さんと魔子さんが、おふざけをしているところも最高に笑える。唐獅子牡丹や緋牡丹博徒に植木等が乱入したら、面白くならないわけがないでしょ。緋桜お蝶の魔子さん、気風の良いあねさんぶりもお見事。奥村チヨさんも 「恋の奴隷」 を歌ってくれるし、藤木悠の吃音純情ヤクザ、藤岡琢也のむちゃぶりパワハラ上司、なべおさみのいじめられっ子キャラも楽しい。爽やかで痛快な笑いに満ち溢れた作品、精神構造はフーテンで自由人の植木さん、なんだか羨ましくなってしまった。

9 crazy cats dvd kisoutenngai
「クレージーだよ 奇想天外」 1966年 東宝 監督:坪島孝 脚本:田波靖男
SF 的な要素も盛り込んだ谷啓さん初主演作、坪島監督が学生時代から温めていた企画。これは傑作、コメディとして秀逸であるばかりでなく、テーマも色あせていない。女性がいないアルファ星から地球にやってきたミステイク・セブン (谷啓)、地球の核実験やロケット打上げが宇宙の脅威となるとの懸念から、地球を平和な星にすべく送られた調査官だ。ここら辺は 「地球が静止する日」 と同じような話だが、こちらは脱線しまくり。鈴木太郎という日本人の身体を借りて生活を始めた谷さん、時折、彼の様子を見にやってくるのが藤田まことの監視役零八だ。藤田さんはてっきり吉本かと思ってたら、渡辺プロに所属していたなんて、これは目から鱗。絶妙なボケと突っ込みのこのコンビ、さらに、太郎のおしかけ恋人の野川由美子さんが加わって笑いも倍増。この 3 人の絡みが多く、野川さんには藤田さんが見えない声も聞こえないという設定がミソ。噛み合っていない会話が何となく噛み合っているという不思議な状況が実に楽しい。もう 1 人のヒロインの星由里子さんはまだ小さい弟を育てるために頑張っているキャリア・ウーマン、現実的で愛情よりもお金な淋しいところも。谷さんはたちまちこの弟の少年と仲良くなるのだが、この 3 人については、笑いよりもペーソスあふれる人情ものといった感じだ。こういったところ、これまでのクレイジー映画には無いバランスの良さがある。谷さんがなけなしの超能力で少年の命を救うところや、淋しいラストも、植木さん主演じゃ考えられないものね。その植木さんは本作にも登場、突然国会に現れて大演説、精神病院から逃げ出した狂人で、凄まじい存在感。狂人の主張が真っ当というこの映画のキモ、いつのまにか地球人の色に染まってしまった谷さんにガツンと一発かましてくれる。テンポが良いのはいつもどおり。ミスイテイク・セブン、サラリーマンから歌手、国会議員と展開もめまぐるしく、あれよあれよと話が飛んで行くのが心地よい。若き日の内田裕也さんも出演、ずっこけおとぼけ演技はなかなかの見もの。この作品、随所に風刺が効いている。日本に来たのは、「憲法で戦争を放棄していて武器も持たない平和な国だから」 というのだが、自衛隊という軍隊があるのはどうしてなのかというミステイク・セブンの素朴な疑問、ミサイルが花火になったり、自衛隊を廃止するかわりに核兵器を持とうなんていう 「平和法案」 が可決されそうになったり。説教臭くなくイデオロギー的でもなく、極めて庶民的感覚で問題提起され、反戦争、反核、平和の思いをうまく笑いにしている。今でも十分に通用する主張、シリアスなタッチで描かれる 「地球が静止する日」 よりも中身は深いような気がする。谷さんの歌も聞けるしギャグの切れも素晴しい、超能力を使うときの谷さんのガチョーン・ポーズ (ご本人は違うと言っていたらしいが) も楽しいし、さえない風貌や行動、話しっぷリなんかも、なんだか共感しちゃう。結局、目的を果たせず、病気の男の子の命を救っただけと悲観するミステイク・セブン、そして地球に戻った彼を待っていたものは。もし、カート・ヴォネガット・ジュニアがこの映画を観ていたら、谷さんにどんな言葉をかけただろうかと想像してしまった。

クレイジー映画はほとんど DVD で観ているのだが、東宝の DVD にはオーディオコメンタリーが付いているものが多い。内容も興味深く面白いものが多いので、参考に挙げておこう。
① ニッポン無責任時代 (吉松安弘助監督、吉松照子スクリプター) ② ニッポン無責任野郎 (板野義光助監督) ③ ホラ吹き太閤記 (浜美枝) ③ 香港クレージー作戦 (谷啓、中尾ミエ) ④ クレージー 黄金作戦 (谷啓、園まり、坪島孝監督) ⑤ クレージー メキシコ大作戦 (犬塚弘、大森幹彦プロデューサー) ⑥ くたばれ!無責任 (坪島孝監督) ⑦ 無責任遊侠伝 (淡路恵子) ⑧ 花のお江戸の無責任 (草笛光子) ⑨ 大冒険 (谷啓) ⑩ クレージーだよ 奇想天外 (坪島孝監督、野川由美子) ⑪ クレージーのぶちゃむくれ大発見 (植木等) ⑫ クレージーの大爆発 (中野昭慶特技監督) ⑬ クレージーの無責任清水港 (坪島孝監督) ⑭ クレージーの殴り込み清水港 (なべおさみ、小松政夫)
⑪ は、植木さんが78歳の時のインタビュー、聞き手はいなくて、ずっと植木さんの語り。友達思いで謙虚な人柄に感激、じ~んときます。これはファンならずとも聞いていただきたい素敵な話、私もこんな年のとり方をしたかった。⑦ の淡路恵子さんもめちゃくちゃ面白い、しゃべりが実に率直でお姉さまの貫録、記憶力の良さ、映画に対する愛情も伝わってきて、まことにチャーミング。
観ていない作品が 70 年の 「日本一のヤクザ男」 「日本一のワルノリ男」、71 年の 「だまされて貰います」 「日本一のショック男」 の 4 本、未だに DVD 化されていないのが残念だ。
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とくせん歌謡曲 1
2014 / 12 / 24 ( Wed )
拙宅に遊びに来たソウル・ファンに、ついつい調子に乗って、貧弱な歌謡曲のコレクションを披露してしまうのが私の悪い癖だ。多分、ありがたくないだろうが、年末特別企画、マイ・コレクションから 14 枚、発表年順に紹介しよう。

1 mahina tashiro aishichattanoyo
和田弘とマヒナスターズ+田代美代子 「愛して愛して愛しちゃったのよ」 (Victor SV-237)
1965.6 浜口庫之助作詞作曲
ハワイアンと小唄が仲良くシェイクハンド、こんなに切なく愛らしいラブ・ソングはめったにない。「生きているのが つらくなるよな長い夜」 なんて胸がうずくフレーズも、ハマクラ先生、ありがとうございます。封筒型のジャケットも洒落ているね。
2 hashi yukio swim
橋幸夫 「あの娘と僕」 (スイム・スイム・スイム) (Victor SV-248)
1965.6 佐伯孝夫作詞、吉田正作曲
この人、演歌歌手じゃないよ。正統派和製ポップス・シンガーの草分け、軽いスウイング感が心地よく、歌唱力も抜群だ。歌は世につれ、好景気にあったからか、この頃の歌謡曲は実に楽しく、これも底抜けに明るい。けっこうヒットしたビーチ歌謡、タイトルからピンとこない方、「渚は恋のパラダイス」 と言ったらお分かりだろうか。吉田正先生の編曲も素晴しく、まことにダンサブル、巧みな男女混声コーラスにも驚いた。
3 kinoshita setsuko nocturne
木下節子 「サマー・ノクターン」 (Victor SV-707)
1968.5 なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲
A 面の 「エキゾチック・ラブ」 よりもこちらの B 面が素晴しい。「60's キューティ・ポップ・コレクション FIRST DATE EDIT」 で初めて聴いて、惚れこんだ。歌謡曲としては地味かもしれないが、しっとりとした質感が堪らない、堂々たる昭和の名曲である。
4a ishida ayumi taiyou
4b ishida ayumi yume
いしだあゆみ 「太陽は泣いている」 (Columbia LL-10058-J)
1968.6 橋本淳作詞、筒美京平作曲
1 人 GS と言ったら、これだろう。溌剌としたアップ・ビート・ナンバー、洗練されていなくて、ズンドコなところも歌謡曲らしくて好き。若さの全てをぶつけたような素朴な歌いっぷりも魅力かな。頑張っているから伝わってくるものってあるよね。B 面の 「夢でいいから」 もソフト・バラードの大傑作、ドリーミーでロマンティック、静かで繊細、上品な甘さがしみてくる。
5 wada akiko doshaburi
和田アキ子 「どしゃぶりの雨の中で」 (RCA JRT-1020)
1969.4 大日方俊子作詞、小田島一彦作曲、山木三郎編曲
セカンド・シングル、演歌っぽいフレージングが特徴的な和製 R&B の良盤。イントロの掴みは強力で、編曲も秀逸だ。ちょっとキーが高めなのかな、苦しげで実直な歌いっぷりに涙、また涙である。
6 hideroza ikinauwasa
ヒデとロザンナ 「粋なうわさ」 (Columbia P-58)
1969.5 橋本淳作詞、筒美京平作曲
昔々、マートルコート近くにあった 「ドードーズ」 のクリスマス・パーティーでこの曲をかけたら、可愛い女の子が目をキラキラさせて 「素敵な曲」 と言ってくれました。シャラララとフレンチ・ポップスみたいに乙なデュエット・ナンバー。むつまじく優しい雰囲気が、泡のように儚げな曲調に見事にマッチしている。
7 okumura chiyo koidore
奥村チヨ 「恋の奴隷」 (Toshiba TP-2162)
1969.6 なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲 
ベティ・スワンの 「メイク・ミー・ユア―ズ」 も同様の趣旨。「恋の奴隷」 は名曲だと言ったら、軽蔑されたことがある。男尊女卑的な歌詞だからだろう、一見、良識めいたものが事の本質を見えなくさせる。私の品格は否定されても、この曲の価値を否定されるのは耐え難い。本当に好きで好きでしょうがなかったら、いったいどうしたら良いのだろう、ここにはストレートで一途な恋心がある。さらに、声に女っ気のないチヨ様がこれでもかと真剣勝負で甘えてくるところが、潔癖でありながら、この曲をとてつもなくエモーショナルなものにしている。PTA や NHK では NG だったようだが、こんな感情表現ができた昔の歌謡曲は凄い。
8a mayuzumi doyou1
8b mayuzumi jun doyou2
黛ジュン 「土曜の夜何かが起きる」 (Capitol CP-1052)
1969.12 なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲
ミニスカ・ダイナマイト炸裂、赤のグロリアとコラボした B 面ジャケットは無敵。歌の上手さもピカイチ、お声も深く心地よい。ときめきのリズム・ナンバー、ゴージャスなバック・サウンドにコブシがくっきり映える。「きらいになんか なったりしない 愛しているわ たとえ何が起きても」 ってところ、実にキャッチ―で歌謡曲ならではの醍醐味に酔いしれてしまう。
9 sakuma kouji maboroshi
佐久間浩二 「まぼろしのブルース」 (Union US-625-J)
1969 藤本卓也作詞作曲 
矢吹健路線の慟哭歌謡。ねっとりとディープなボーカルの存在感はとてつもなく、越えてはいけない一線を越えてしまった感もある。ムーディーなサックス、ゆがんだギターとパーカッション、バックも絢爛だ。驚くなかれ、James Carr と Spencer Wiggins の Love Attack のように、この曲、女性漫才トリオフラワーショーの華ばらさんのアップテンポ・ヴァージョンもあり。
10 kajimeiko jinngiko
梶芽衣子 「仁義子守唄」 (Teichiku SN-975)
1970.7 たちばなじゅん作詞、春川一夫作曲
「さそり」「修羅雪姫」 以前の梶芽衣子、彼女が主演した日活映画 「怪談昇り竜」 (石井輝男監督) の主題歌だ。健さんの 「網走番外地」 の雰囲気、正統女任侠もののイメージだが、この映画、あけてびっくり、石井輝男ワールドが全開。迷走する中、すっきりと少年のようなたたずまいの梶芽衣子の女っぷりが光っている。ジャズ・シンガーのホキ徳田 (当時アーサー・ミラーの奥さん) 扮する盲目の女剣士との一騎打ちはシュール、泣けるラストに花を添えるのがこの曲だ。
11 hirayama miki beautiful
平山三紀 「ビューティフル・ヨコハマ」 (Columbia P-102)
1970.11 橋本淳作詞、筒美京平作曲
ヒラヤマさん、橋本淳と筒美京平コンビのバック・アップで色々なタイプの曲を歌っていて、このデビュー盤が一番歌謡曲っぽい作品かもしれない。一番人気の 「真夏の出来事」 も好きだけど、起承転結がはっきりせず、スカッとしないところもある。でも、これは文句無し、キメキメに決まった横浜歌謡の傑作だ。まさに歌謡曲的にビューティフル、「新宿マドモアゼル」 と並ぶ作詞家橋本淳の代表作。
12 midori mako
緑魔子 「やさしいにっぽん人」 (CineDisc M-7)
1973.1 東陽一作詞、海老沼裕・田山雅光作曲
同名映画の主題歌。高校生の頃、ミドリブタこと下落合本舗の林美雄 (はやしよしお) さんの深夜放送 (パックインミュージック) で何度もかかっていた。この曲を聴くと、懐かしくいろいろなことが思い出される。イントロのギターのつまびきに胸が疼く、天上から舞い降りてきたかのような魔子さんの歌声は妖しい子守唄のようだ。これを歌謡曲と言って良いのか、青臭いニュー・ミュージックではないことは確か。演奏は2本 ? のギターのみ。1 年ほど前に映画も観たが、私にはつまらなく、この歌の印象しか残らなかった。
13 nosaka akihiro shumatsu
野坂昭如 「終末のタンゴ」 (Elec EB-1022)
1974.4 能吉利人作詞、桜井順作曲 
小説家野坂昭如は間違いなく天才である。そして、歌手野坂昭如も天才に違いない。プレイボーイを自称する人は多いが、野坂氏は本当にモテモテだったらしい。天は二物も三物も与えたようで、学生の私にとってはまさしく憧れの存在であった。多くのライブ録音があり、生で歌っても抜群に上手く、野坂節としか表現できないような独特の味わいがある。これはスタジオ録音、いつものように能と桜井コンビが書いたタイトルどおりの曲、真面目なんだが可笑しみのある野坂さんでなければ、この終末のメッセージは伝わってこないだろう。それにしても親父のための歌が無くなってしまったのが淋しい。もしかしたら、歌では無くて素敵な先輩たちがいなくなってしまったのかもしれないな、自省。
14 maggy minenko namida
マギー・ミネンコ 「涙の河」 (King BS-1850)
1974.7 橋本淳作詞、中村泰士作曲
カヴァーも多いようだが、私の聴いた限りでは、このオリジナルの足元にも及ばない。普通の少女が一瞬お姫様になるような、はっとするような輝きがある。曲の良さばかりではなく、歌唱力も際立っていたということだろう。19歳とは思えないしっかりとした歌いっぷり、悲しく美しく力強く、聴くたびごとに様々なニュアンスが伝わってくる、歌謡曲というジャンルでしか生み出しえなかった掛け値なしの傑作バラードだ。
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ハードボイルド考 : 「拳銃(コルト)は俺のパスポート」 「殺し屋」 「裏切りの街」
2014 / 09 / 26 ( Fri )
「非情でなければ生きていけないが、一度も情にほだされたことが無いようじゃ、生きていたってしょうがない」※、若かりし頃はこの言葉に痺れたもので、これを持って、ハードボイルド論を展開する人も多いようである。ハードボイルドとは 「固茹で卵」 のこと、英米語のスラングで 「したたかな、抜け目のない、一筋縄ではいかない」 という意味だ。アメリカのパルプ・マガジン 「ブラック・マスク」 でデビューしたダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラーの行動派探偵小説が、主人公のキャラクターやその文体からハードボイルド・ノヴェルと言われるようになり、この言葉が小説や映画などで広く使われるようになった。私の抱くイメージは、精神的に強じんで妥協を許さないといった感じだろうか。小説作法としては、感情を露わに表現せず、文章は会話と行動が中心。「感情を露わにしない」 という点では、わが愛するソウル・ミュージックとは真逆なところが面白い。冒頭の感傷的なニュアンスを含んだフィリップ・マーロウのセリフはハードボイルドの本質を見誤らせるもので、大人になってもこんな言葉に執着しているようではいけないというのが現在の心境だ。とは言え、ハードボイルドのなんたるかは、人それぞれ。ここでは私がこれぞ極めつけにハードボイルドだと思っている映画と小説を紹介したい。
※ 清水俊二訳は 「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」

拳銃は俺のパスポート
「拳銃(コルト)は俺のパスポート」
1967 年、日活、野村孝監督、宍戸錠主演。ハードボイルド映画の最高峰という世評に違わぬ傑作。ヒットマンの宍戸錠と相棒のジェリー藤尾は暴力団から命を狙われ、国外脱出を図る。追いつめられてやって来たのが船員たち相手の食堂兼旅館の渚館だ。おばさんの武智豊子と女給の小林千登勢が 2 人で切り盛りしている。小林は宍戸を狙う暴力団幹部の元女、どん底の生活から抜け出せないでいる。袋の鼠となった彼らを助けるべく、彼女は知り合いのだるま船に手引きをする。最後の展開は不自然なところもあるが、そんな不都合やプロットの弱さを消し去ってしまうほどの魅力がこの映画にはある。宍戸は言葉数も少なく、必要最小限、ヒロインの小林千登勢も幸薄そうでほとんど無駄口はたたかない。そんな 2 人がふと見せる優しい顔が貴重でこの上なく大切なものに思える。桶の水に映った女の顔が一瞬笑顔になる 42 分 20 秒、彼女に対して男の表情が和らぐ 48 分 45 秒、映画でしか味わえない至福の瞬間である。モノクロの画面は美しく静かで詩的な雰囲気、そして一転、ラストの銃撃戦は日本映画アクション史に残る名シーンだ。小林とジェリーを船上に残し、宍戸が敵に向かう場面等々、ウエットになる要素いっぱいなのに、そういった水っぽさは微塵もない。

ある殺し屋
「ある殺し屋」
1967 年、大映、森一生監督、私の大好きな市川雷蔵様主演。表の顔は小料理屋の主人、裏では殺しの請負人である雷蔵さんに、あばずれ女の野川由美子とヤクザの成田三樹夫が絡んで、組織から麻薬を強奪するお話。感情を露わにしない雷蔵さん、プロフェッショナルぶりも凄まじく、そんな徹底した人間が、成り行きとは言え、どうしようもなく面倒くさい野川と、どうしようもなく胡散臭い成田と組んで仕事をするというところが面白い。2 人のことは承知のうえ、裏切られても許しちゃう、これはハードボイルドなイエス・キリストだ。モラリストのアウトローという私好みのヒーローでもあります。3 人の関係が徐々に分かってくるところなど、ストーリーの運びもおしゃれ。カメラは宮川一夫でまことにスタイリッシュ、音楽のセンスもなかなかだ。小料理屋の女中で小林幸子さん (14歳) も出ているよ。

ポール・ケイン 裏切りの街
「裏切りの街」
河出文庫、1932 年、「ブラック・マスク」 に連載されたポール・ケインの唯一の長編。ハメット (1929 年デビュー) とチャンドラー (1934 年デビュー) を別格とすれば、最強最良のハードボイルド小説といっても過言ではない。腐敗した都市を舞台に繰り広げられる一匹狼の渡世人とギャングたちとの命懸けの攻防戦。主人公のケルズのタフさは筋金入り、心だけでなく身体も、手負いになってますますアドレナリンが出てくるって感じだ。援軍は 2 人、最強の助っ人ボーグと信頼厚き友ビアリ、流れ者の女グランギストも絡んでくる。場面の展開も速く、客観描写に徹したからからに乾いた文章だ。登場人物が多く、二転三転の展開でどんどん話が進んでいって、ちょっと混乱するが、途中から物語がぐっと収斂し、さらに加速するところが凄い。非情なる結末、これはヒーロー小説なんかではなく、過激なるハードボイルド・ノワールだ。もっと評価されるべき作家、しかし作品が少なすぎる。本作の他、5 年間の活動期間で 12 篇の中短篇のみ、翻訳されているのはそのうちの数篇だ。

紹介した映画 2 本とも同年 (1967 年) の公開で主人公が殺し屋、書こうと思って初めて気がついたが、原作者も同じく藤原審爾さん (「逃亡者」 と 「前夜」) である。なお、宍戸錠さんの愛用拳銃はコルトではなくベレッタ、どうしてこんなタイトルになったのかは不明だ。
洋画ではハンフリー・ボガートよりもマレーネ・ディートリッヒにハードボイル魂を感じる。「上海特急」 におけるハードボイルド的恋愛論なんていうのも面白いかもしれない。
最近、ダシール・ハメットを再読して、作家としての凄実に参っている。フィリップ・マーロウは私の永遠のヒーロー、チャンドラーは長編も良いが、中短篇にも強い愛着がある。この 2 人についても、何か書いてみたいね。
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