SOUL 45  SAM NESBIT, PHILIP JAMES & THE ROTATIONS
2009 / 03 / 31 ( Tue )
Sam Nesbit / Chase Those Clouds Away (Amos 154) - 1970
Masterpieces Of Modern Soul (UK Kent) の第1集に収録。UK のノーザン・ファンにはフリップの Black Mother Goose が支持されているようだが、私は断然こちらサイドだな。いちころでやられてしまったガチンコ・モダン、軽快なテンポにチャーミングなダミ声がコブシをブンブン振り回して弾け飛ぶ。身も心も浮き浮き、メロディックなミディアム・アップでヴォーカルの聴かせどころも多い。このシンガー、UK オンリーで Keep On Hustling Baby (UK Right On ! 103) というシングルもあり。
Philip James / Keep On Loving (Longwood 4052) – 1974
ワシントン DC 近郊の Rockville のマイナー・レーベルからリリースされた 70 ズ・モダンの逸品、録音はシンシナチ。あっけなく終わってしまうが、一晩中ずっと聴いていたくなるようなダンス・ナンバー。やけに熱っぽい、ちょっと火照って気分も高揚、ひたすらな歌いっぷりは涙ものであります。
sam nesbit 
The Rotations / We Want Freedom (Toxanne 12224) – 1970/2009
Miles Grayson のプロデュースで Trying To Make You My Own (Mala 576) という傑作ノーザンを残しているグループとは別、いつの間にか値段が付くようになってしまった Don’t Ever Hurt Me Girl (Law-Ton 1550) で知られるニュー・ジャージーの The Rotations の未発表曲 (アセテート・オンリー?) で、つい最近、UK から 7 インチでリリースされた。A 面となっているノーザン・クロスオーバー When He Slowly Moves Away From You も素晴しいが、さらにこのミディアムのバラード We Want Freedom にやられてしまった。こういう真っ当な歌ものグループ・ソウルって、なんか久しぶりに聴いたなって感じで、泣けてきた。フィリー録音で、Law-Ton のシングルと同じセッションのもののよう。なお、Frantic の The Rotation と同じグループということらしく、Arctic の項を訂正させていただきます。このシングル、新譜なのに値段が 20 ポンドということで、日本には入ってこないかもね。
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*お知らせ* 4 月のアルツハイマーは 18 日の土曜日です。
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楽CD  BIG JOHN HAMILTON (SOULSCAPE)
2009 / 03 / 22 ( Sun )
BIG JOHN HAMILTON / ARE YOU HAPPY WITH HIM (UK SOULSCAPE SSCD 7016)

1. Temporary Love # (from P-Vine PLP 333) 2. Angel # (from P-Vine PLP 333) 3. Free Me (Minaret 7011) 4. I Got To Get Myself Somebody (Minaret 7011) 5. Show Me Your Love # 6. Are You Happy With Him # 7. Give Me Some Of Yourself # 8. Love Comes And Goes # (alt take of Minaret 143) 9. I'll Just Keep On Loving You # (from P-Vine PLP 333) 10. After Loving You # 11. Tender Side Of Me # 12. Old Man Bad Luck [Got Hits Cuffs On Me] # 13. On Our Way Home [Big John Hamilton & Doris Allen] # 14. Soul Socking Thing # 15. I Want My Baby Back (Emerald Coast 86-7) 16. Creole Lady (Emerald Coast 86-7) 17. Every Time You Touch Me # 18. Rainy Day Lover # 19. Country And The Blues # 20. Help Me Make It Through The Night # 21. Kiss The Hurt Away #
# unissued 2009 Notes : John Ridley

フロリダの Finley Duncan が手掛けたソウル・シンガー Big John Hamilton の未発表曲がたっぷり聴ける CD アルバム。シングル・リリースがあるのは ④⑤⑮⑯ の 4 曲、①②⑨ は既にP-Vine の LP に収録されていたもの、⑧ はシングルとは別テイクとなる。残る 13 曲は新たに Valparaiso の Playground スタジオから発掘された音源だ。まず、Big John Hamilton / How Much Can A Man Take (Sundazed、楽p.275) に洩れていた Free Me と I Got To Get Myself Somebody が収められているのが嬉しい。76 年にリリースされたシングルで、前者の Otis スタイルのバラードも良いが、後者の王道サザン・バラードがさらに素晴しい。楽本では 70 年以前の録音であろうとしたが、ライナーでは、70 年代中ごろに吹き込まれたものとされている。14 曲目までの残る 12 曲は 70 年前後の音のようだ。Love Comes And Goes はシングル・テイクと大差無し、私が一番気に入っているのは、軽快に歌われたサザン・ダンサー Temporary Love かな、これはマッスルショールズでしょう。意外なことに未発表曲にブルース・ナンバーが無い。ちょっとファンキーなリズムもの Soul Socking Thing を除くと、彼が最も影響を受けたシンガーが Ray Charles ということもあり、Doris Allen とのデュエット On Our Way Home を始めカントリー・タッチのソウル・ナンバーが多い。ここら辺は好みが分かれるところかもしれないな。あっさりと聴き流してしまいそうになるが、Are You Happy With Him とか After Loving You でのヴォーカルはしみじみと味わい深い。70 年代に入り、Playground は活動を一時停止してしまい、I Want My Baby Back と Creole Lady はプロデュース業を再開した Finley Duncan の Emerald Coast から 86 年に発表されたものだ。このレーベルでは、Doris Allen と Big John Hamilton で各 1 枚のカンバック・シングルがリリースされており、Doris のものは既に単独 CD (Soulscape 7012) に収録されている。 Want My Baby Back は新譜で聴いた曲、メロディックなバラード、カラオケのようなバックはいただけないが、歌うことの嬉しさが伝わってくるようで、吹っ切れたディープな歌いっぷりには懐かしさも相まって感動してしまった。17 曲目からの 5 曲はその時期の未発表曲で、最後の Kiss The Hurt Away は Johnny Adams (SSS Inter 867) のカヴァー。正直、今の私にとって音は許容範囲外、ただ Every Time You Touch Me といったじんわり沁みるバラードもあり、歌には渋みが増している。Finley Duncan の死が無かったら、もう少し頑張れた人かもしれない。彼は今も健在で、教会でゴスペルを歌っているそうである。ここで、John Ridley氏のライナーに沿って、Minaret以前の若き日の Big John Hamilton についてもちょっと触れておこう。John Lee Hamilton が本名で出身はサウス・カロライナ。Leroy Lloyd のバンドのギタリストとしてミュージシャンとしてのスタートを切っており、Bill Johnson (Sam & BillのBill) のロッキン R&B ナンバー You Better Dig It (Talos 402) でバックをつとめている可能性がありとのこと。そして、61 年頃にソロ・シングル I Need Someone / Nothing But Fine (Kip 404) を地元 Trenton にあった Kip レーベルからリリース。I Need Someone は私の大好きなアーリー・ソウル・バラード、楽本 (p.53) でも紹介しているので、より突っ込んだ内容についてはそちらを読んでくだされ。その後、Hank Ballard & The Midnighters や Etta James のロード・バンドに加わり、Etta のツアーでは前座で歌っていたことから、Chess レコードに売り込む機会もあったらしい。結局、レコーディングには至らず、サウス・カロライナに戻り、生活のために音楽の道を諦めているが、再度、旧友の Leroy Lloyd の誘いで Leroy のバンド The Dukes のシンガーとなっている。そこで、新しいタレントを求めていた Finely Duncan の目にとまり、彼自身が工場で働いていた経験をもとにして書かれたブルース・ナンバー The Train (Minaret 124) でデビュー。Minaret のシングルは Sundazed の CD アルバムにほぼ収録されているので、Big John Hamilton を聴いたことのない方は、まずはそちらをお薦めしたい。本 CD にはとびっきりの曲は少ないものの、実直で暖かみのあるヴォーカルからは彼の人柄も伝わってくるようで、埋もれていた歌声に出会えたことを喜びたい。
big john hamilton
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SOUL 45  ARCTIC
2009 / 03 / 15 ( Sun )
The Volcanos / The Laws Of Love (Arctic 115) - 1965
Honey & The Bees / Why Do You Hurt The One Who Loves You (Arctic 141) – 1968
Barbara Mason の CD ライナー (The Sound Of Philadelphia からの引用) を読んでいたら、Jimmy Bishop は Atlantic からヒントを得て、Arctic (北極) という名前を思いついたそうだ。その北極の縦ロゴの天辺にペンギンがのっかっているデザインがまことに愛らしく、ターン・テーブルにのっける時にはいつもレーベルに目が行ってしまいます。でも、ペンギンって、北極にはいないんだよね。Arctic レーベルについては、楽 SOUL で Kenny Hamber、ミニコミ Sound Off では Harold Melvin & The Bluenotes、Herb Johnson、Dee Dee Barnes、本ブログでも The Temptones のシングルを取り上げさせていただいたが、リリース枚数では Barbara Mason が 16 枚と断トツ、その次に来るのが、ここにあげた 2 組のグループとなる。Volcanos が 6 枚で、Honey & The Bees が 5 枚で、LP のある The Ambassadors よりも多い。
まず、Gene Faith をリードとする Volcanos、Dynodynamics プロダクションで制作された Arctic のシングルはどれもサウンドも勢いがあり、ノーザン・コレクターならば、全てあつめておきたいところ。後にメンバーの多くが The Trammps に加わったということで、グループの実力もたいしたもの。The Laws Of Love は UK では一番人気の曲、115 という番号で DJ 盤を含め 5 種類のプレスがあるのでちょっとややこしい。写真にあるのはホワイトのワン・サイド・プロモ、レギュラー盤は裏がインストとなっている。先にプレスされたものはタイトルが The Rules Of Love になっていて、そちらの方が珍しい。まことに軽快で気持が浮き立つようなアップテンポ・ダンサー、ヴォーカルも演奏もおおらかで親しみを感じるサウンドとなっている。先にリリースされた Storm Warning (Arctic 106) もこの The Laws Of Love と同じタイプ、モータウンを彷彿させるアレンジで、Make Your Move (Arctic 103 & 111 & 128) も The Contours を思わせるようなダンスものだ。彼らの Arctic のシングルは同じ曲が何度かプレスされていて実質は 7 曲、Baby (Arctic 103 & 106) は唯一のバラード・ナンバーで、ほんのりと50年代の香りが漂うクラシカルな仕上がり、Gene Faithの思い入れたっぷりの歌いっぷりが余韻を残す。Gamble & Huff が書いた Help Wanted (Arctic 111 & 125) はデトロイトっぽい音のハードなナンバー、フリップの A Lady’s Man (Arctic 125) はさらにテンポが速く、踊り狂いたい方には125番のシングルは必携盤といえる。最後のリリースとなる You’re Number 1 (Arctic 128) は Eddie Holman & James Solomon の作、あの Larry Clinton の She’s Wanted のコンビである。これは、めちゃくちゃかっこいいフィリー・ダンサー、畳みかけるようなバック・サウンドに印象深いメロディー・ライン、ドラム・ブレイクもあり、Gene Faith もラストではガッタガッタとディープに連発してくれて、私としては今一番、聴きたくなる曲である。
Honey & The Bees は楽本 (p.180) で取り上げた Academy のグループとは別で The Yam Yams (ABC Paramount) を前身とする本家の方。Honey こと Nadine Felder をリードとし、Gwendolyn Oliver、Cassandra Ann Wooten、Jean Davis の 4 人。可憐で芯の強いリードも魅力的でコーラス・テクニックも只ものではない。楽曲はポップなものからファンク・ナンバーまであり、彼女たちのタレントをどうやって生かそうかと Jimmy Bishop らスタッフが苦心していたことがうかがえる。Arctic のシングルは 4 枚あり、2 枚はひじょうに珍しく、私のコレクションは普通に買える 2 枚。不本意ながら、ここであげた Why Do You Hurt The One Who Loves You は途中までは快調なのだが、サビのメロが凡庸でちょっと残念。ただ、裏をかえした Go Now はなかなか風情のあるバラードで、70 年代フィラデルフィア・スウィートの基本がすでに出来上がっていたことがよくわかる。もう 1 枚の Sunday Kind Of Love / Baby, Do That Thing (Arctic 158) はスタンダード・ナンバーの力作カヴァーと軽いファンク・ナンバーのカップリング。2 枚のシングルにアレンジャーとしてクレジットのある Bobby Martin ほか、Barbara Mason のところでも書いたミュージシャン達が音作りにかかわっている。もう手に入れにくいかもしれないが、彼女たちの Arctic 音源については、99 年に Honey and the Bees / Dynamic ! (Jamie4009) という 14 曲 (うち未発表が 5 曲) 入りの CD アルバムがリリースされていて、傑作歌謡ファンク Love Addict (Arctic 149) やレア・ノーザン Dynamite Exploded (Arctic 152) も収録。おまけに、未発表となっていた60ズ・フィリー・バラッドの傑作 Make Your Mine も聴ける。ライナー・ノーツを寄稿しているFred Wesleyによれば、ステージ・パフォーマンスも素晴しかったようだ。
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Barbra Mason / Bobby, Is My Baby (Arctic 120) – 1966
The Rotations / Put A Dime D-9 (Frantic 200)
Barbara Mason のシングルも紹介しておこう。既にミニコミにも書いていたとおり、バックの音が次に挙げた The Rotations のものといっしょ。Frantic も Jimmy Bishop のレーベルで、どちらのリリースが先なのかは不明。Jimmy Bishop & Kenny Gamble 作のフィリー黎明期の傑作ダンス・サウンド、ちょっとルーズなテンポにブリブリのラッパも活躍してくれて、いつの間にか楽しくなれる曲。なお、The Rotations の方は featuring Richard Parker となっていて、男性ヴォーカルを女性コーラスがサポート、しゃがれたハイ・テナーでかなりそそられるお声をしていらっしゃる。おそらく、他の同名グループとは関係ないでしょう、グループであったのかも怪しい。もう 1 枚の A Changed Man (Frantic 202) もチャームなダンス・ナンバー、歌っているシンガーは別人のようだ。
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再度、イベントの宣伝をさせていただきます。今週金曜日 20 日の祝日、渋谷の BLUE HEAT でレコードをかけます。これまでは、できるだけたくさんの曲を聴いていただきたい気持ちと人前でべらべらしゃべるのは好きじゃないし苦手なので、ただただシングルをかけてましたが、今回はしゃべりの方も頑張って楽しんでいただこうと思っております。場所はこの前アップした地図を見てね、ノー・チャージ、ドリンク代だけで OK、懐が淋しくても大丈夫です。プレイ・リストも配られます。雰囲気も良いので、初めての方でも落ち着いて聴けると思います。私は、ディープ・ソウルしかもっていきませんが、鈴木先生、シャークさん、森島さんは意外な曲もかけてくれるはず。まだ、花見には早いです、浮かれる前にじっくりソウルを聴きましょう。
20:44:44 | SOUL 45 | コメント(0) | page top↑
BARBARA MASON / OH, HOW IT HURTS (BEAR FAMILY BCD 16206)
2009 / 03 / 08 ( Sun )
BARBARA MASON / OH, HOW IT HURTS (BEAR FAMILY BCD 16206)
1. Oh, How It Hurts (Arctic 137) 2. I Don’t Want To Lose You (Arctic 140) 3. Happy Girl (Arctic 154) 4. For Your Love (from LP Arctic 1004) 5. Peace Of Mind # 6. Dreams Really Come True # 7. Ain’t Got Nobody (Arctic 137) 8. Forever (from LP Arctic 1004) 9. Gee Whiz # 10. Poor Girl In Trouble (Arctic 126) 11. Slipping Away (Arctic 142) 12. Take It Easy (Arctic 148) 13. You Better Stop It (Arctic 154) 14. Don’t Ever Go Away (Arctic 146) 15. Game Of Love (Arctic 134) 16. If You Don’t (Arctic 112) 17. I Do Love You (from LP Arctic 1004) 18. Tried So Hard # 19. Is It Me (Arctic 116) 20. I Need Your Love (Arctic 120) 21. Think About It # 22. Just You And Me # 23. Dedicated To You (Crusader 111) 24. I’ll Keep On Loving You # 25. Lonely Too Long # 26. I’m No Good For You (Arctic 146)
# Unissued 1997 Notes : Bill Dahl

フィラデルフィアの歌姫 Barbara Mason のシンガーとしての出発点となった Arctic レーベルの作品をまとめた CD アルバム。1964 から 69 年の録音、Arctic 後期のシングルとジャケットにも使われているセカンド LP の収録曲を中心に編まれたもので、未発表曲も 8 曲あり。発売元は、一時期、フィラデルフィアの 60 年代ソウルを積極的にリイシューしていたドイツの Bear Family、さらに Arctic のファースト LP と初期のシングルが聴ける Yes, I’m Ready (BEAR FAMILY BCD 16205) という CD アルバムもリリースされており、2 枚あれば、Barbara Mason の Arctic 音源は完璧にカヴァーできる。プロデュースは Harthon レコードのプロデューサーであった Weldon McDougal (本ブログのThe Four Larks参照) で、 多くの曲でバックをつとめるのは若き日の Bobby Eli、Norman Harris、Ronnie Baker、Earl Young といった面々。クレジットは無いが、Bobby Martin や Kenny Gamble も裏方で頑張ってらっしゃるはず。ということで、アーリー・フィリーのサウンドを知る上では、避けて通れぬ女性シンガーなのだが、ゴスペルをベースにしているシンガーではなくソウルフルといった感じの歌いっぷりではないので、本邦ではソウル・ファンの支持は極めて低い。さらに、Arctic の LP も選曲がベストではないので、それも一因かもしれない。まぁ、あまり紹介する人もいないし、なんとなく聴かれていないということなのかな。それでは、気を取り直し、私の気に入っている曲を何曲かピックアップしておきましょう。まず、1曲目の Oh, How It Hurts、バラード・ナンバーでは Yes, I’m Ready と並ぶ名曲、しっとりと女の情けに涙である。Happy Girl は 69 年の作ということで、バックにはストリングスも付いて、デルフォニックスが歌っても良さそうなくらいまったり甘い。未発表となっていた Peace Of Mind と Tried So Hard もフィリー・バラードの佳曲。前者は Royal Five のシングル (Arctic 160) で知られているが、Barbara 嬢のヴァージョンの方が私は好きですね、ムーディーな男性コーラスも後押し、スウィート・ファンはソファーに泣き崩れてほしい。Ain’t Got Nobody は正統アガシ路線、UK では人気のあるガールズ・ノーザン、これは私もシングル盤で愛聴している。Take It Easy と You Better Stop It はビート・ナンバーで、ちょっと異色。You Better Stop It はメロも印象的、流麗なストリングスと先走るドラム、そして感情豊かにスウィングするヴォーカル、こんなに切ないダンサーってそうは無い。Ian Wright のSisters Funk 2 (楽p.362) にも収録され、彼女のシングルでは一番手に入れにくい。私も持っていなくて、マイ・ウォンツの 1枚、これは、ほんと素晴しいです。Don’t Ever Go Away も陰影のあるミディアム、Is It Me での可憐でチャーミングな歌いっぷりも捨てがたい。Forever は The Marvelettes、Gee Whiz は Carla Thomas、I Do Love You は Billy Stewart のカヴァー、いずれも彼女のテイストにあったバラード・ナンバー、多分、彼女自身が好きであった曲なのだろう。なお、この人、ライターとしての才能もたいしたもので、18 歳でヒットした Yes, I’m Ready はもちろんのこと、オリジナル曲はほとんど彼女のペンによるものだ。ハスキーで泣きのある声、他のどの曲もしっかりと歌われ、味わいは深い。でも、ポップでゆったりとしたテンポの楽曲が多く、ノーザン・ファンが好むような曲も少ない、やはりソウル・ファンにはあまりアピールしないかもしれないな。最初に偉そうなことを書いてしまったが、アガシ・ソウル・ファンを自認する私も持っている Barbara Mason のシングルは片手ほどで、実はこの CD も最近手に入れたもの。運良く私は新品で普通の価格で買えたが、Amazon等の中古では法外な値段が付いているところもある。Bear Family は活動を中止してしまったようで、どこかで再編集されることを期待したい。
agashi cd 
MAXINE BROWN / BEST OF THE WAND YEARS (UK KENT CDKEND 312)
1. One In A Million (Wand 1117) 2. It's Torture (Kent CDKEND 949) # 3. Let Me Give You My Lovin' (Wand 1128) 4. I Want A Guarantee [alt vocal] # 5. Yesterday's Kisses (Wand 135) 6. Wonder What My Baby's Doing Tonight (Wand LP 663) 7. Oh No, Not My Baby (Wand 162) 8. Love That Man (Kent CDKEND 949) # 9. You're In Love (Wand 1104) 10. Gotta Find A Way (Wand LP 663) 11. Am I Falling In Love (ABC 10370) 12. She's Got Everything (Ace CDCHD 711) # 13. Little Girl Lost (Wand 152) 14. Baby Cakes (Kent CDKEND 949) # 15. The Secret Of Livin' (Wand 1145) 16. Why Did I Choose You # 17. Everybody Needs Love (from Kent LP 047) # 18. Misty Morning Eyes (Kent CDKEND 949) # 19. Since I Found You (Wand 142) 20. Whatever Happened To Out Love (Ace CDCHD 711) # 21. One Step At A Time (Wand 185) 22. Put Yourself In My Place (Wand 158) 23. That's All I Want From You # 24. Anything For A Laugh (Wand 185) 25. Losing My Touch (Kent CDKEND 949) # 26. Oh Lord, What Are You Doing To Me (Kent CDKEND 949) # 27. If I Had Know # 28. It's Gonna Be Alright (Wand 173)
# uniisued 2009 Notes : Ady Croasdell

UK Kent 編集の Wand の Maxine Brown 第三弾、先の 2 枚は既に取り上げており、収録曲28 曲のうち 19 曲が重複するので簡単な紹介とさせていただく。私にとってのお初は、廃盤となっている Maxine Brown / Like Never Before (Kent LP 047) でしか聴けなかった Everybody Needs Love と新たに発見された未発表ナンバー 3 曲。Everybody Needs Love はテンプスのカヴァーでライブ録音、ジャジーなバックをものともせずにソウルフルに歌い上げてくれる。That's All I Want From You と If I Had Know は Otis Redding プロデュースの Fame 録音、That’s All I Want From You は Otis が書いた曲だが、Smokey Robinson が歌っても違和感のないような優しくロマンティックなバラードでちょっと驚いた。歌いっぷりも申し分なく、ラストでぐっと盛り上がって素晴しい、思わず泣けてしまった。これだけでもこの CD を買って正解でありました。If I Had Know も静かに響くバラードで、こちらも良し。Otis の突然の死がなければ、Maxine Brown の Fame 発の傑作 LP が Jotis / Atco でリリースされていたかもしれないな。NY 録音と思われる Why Did I Choose You は曲に魅力がなく、残念。She's Got Everything と Whatever Happened To Out Love も珍しい音源で UK Ace のアガシ・ソウルの好コンピレーションWhere The Girls Are (最近、第7集が出た) の第 2 集に収録済のもの。ということで、いずれもポップ・ソングです。なお、11 曲目の Am I Falling In Love は Wand ではなく ABC Paramount での 62 年の作品、私の大好きなミディアム、Kent も心憎いサービスをしてくれる。未発表曲 It’s Torture と Baby Cakes、さらにOne In As Million、Yesterday’s Kisses、Oh No, Not My Baby、Since I Found You、It’s Gonna Be Alright といった代表曲も聴けるので、初めてちゃんと聴いてみようという人には文句なくお薦め、エレガントでソウルフルなマキシンに出会えるよ。

2008.8.26 の THE FALCONS featuring SONNY MUNRO (UK SOUL JUNCTION) の CD レヴューに補足あり、書き加えました。
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