楽CD  THE COMPLETE GOLDWAX SINGLES VOL.1 (ACE)
2009 / 06 / 21 ( Sun )
THE COMPLETE GOLDWAX SINGLES VOL.1 1962-1966 (UK ACE CDCH2 1226)
2009  Notes : Tony Rounce & Dean Rudland

イギリス人はこんなものまで出してしまうんだなぁ。やることが徹底しております。Goldwax のコンプリート・コレクション、全 3 巻の第 1 集。2 枚組 1962 年から 66 年のシングルの AB 面を完全収録、Quinton Claunch の所有していた他レーベル作品も含む、非の打ち所のない内容だ。Goldwax サウンドって言葉、日本のサザン・ソウル・ファンにとっては猫にマタタビ、黄門さまの印籠みたいに問答無用とでも言わんばかりに使ってしまうのだが、分かっているのかと問われれば、まったく自信が無い。そんな私にとっては、60 年代メンフィスの最高のソウル・サウンドの全貌と秘密を明らかにしてくれるありがたい企画である。この第 1 集は、クイントン・クランチが試行錯誤していた頃の作品ということで、カントリーやロカビリーの範疇に入る曲も多く、私もシングル 29 枚のうち初めて聴くものが 11 枚、この CD が出なければ、大半が一生聴くことができなかった曲のはず。ということで、今後、リリースされる 2 集、3 集よりも音的には貴重。さらに、UK Kent は偉い、音だけでなく、文字情報も充実している。Goldwax レーベルについては、ピーター・ギュラルニックの 「スウィート・ソウル・ミュージック」 にも詳しく、Quinton Claunch へのインタビューをベースにまとめられたライナー・ノーツにも目新しい情報はあまり無いのだが、シングル盤 1 枚 1 枚についてのコメントがあり、これがまことに興味深い。そこら辺は CD を購入して確かめていただくとして、ここでは、私が気になった曲について一言ということにしたい。ちょっとネタばらしもしてしまいますが、Ace Records さん、大目に見てくだされ。
・ The Lyrics / Darling (Goldwax 910 / Goldwax 101)、1963 年、これをもって、サザン・ソウル・レーベル Goldwax の幕は切って落とされた。Vernell Edwards & Earl Cage が書いたゴスペル・ソウルの傑作。
・ Jeb Stewart / Will I Ever Be Free (Bingo 1001)、録音はアメリカン・スタジオ? クランチが音源を買い取り、彼が Goldwax よりも先にスタートさせていたレーベル Bingo から 64 年初頭に発表された。カントリーという土壌があってこそ生まれたダウンホームなアーリー・サザン・バラードの名品である。Pure Gold のシングルはこれと同時期か前の録音のようだ。
・ Oboe / She's Better Than You (Goldwax 104)、本名は Osbie McClinton、ゴールドワックスではソングライターとして手腕を発揮する。のちに James Carr の激唱で知られる曲、O.V.Wright のバンド The Keys をバックにしみじみと歌ってくれる、黒っぽくないのにズブズブ沁みるのは一体全体何故なのか。
・ The Lyrics / So Hard To Get Along (Goldwax 105)、楽 SOUL 参照、岩石を砕くような音色と評させていただいたギターは Reggie Young であります。
・ James Carr / Only Fools Run Away (Goldwax 108)、James Carrの 1 枚目、あまり聴き込んでいなかった曲だが見直した。ポップでリズミカルなミディアム・ナンバー、アーリー・ソウル好きには堪らないはず。
・ Phillips & The Faithfuls / Love Me (Goldwax 109)、ライナーでは存在が知られているのは世界に 3 枚にも満たないシングルとあるが、ホンマかいな、日本にはあと 2、3 枚はありそう。私がお世話になった SOUL BOX の小室さんから Goldwax で一番珍しいブツとは聞いてはいたが。
・ The Playboy Five / Spoonful (Bandstand USA 1001)、Bandstand USA の最初のシングルでベリ・レア。メンフィス以外の場所では録音されえなかったレコードであるとライナーにも書かれているとおりのインスト・ナンバー。
・ The Ovations / Won’t You Call (Goldwax 110)、オヴェイションズのファースト・シングル、アメリカン・スタジオ録音でバックは Gene “Bowlegs” Miller のバンド。いつ聴いても、心が躍るね。
・ James Carr / I Can’t Make It (Goldwax 112)、いまだ皆さんが知っている James Carr ではないが、このシングルも両面、素晴しい。
・ Big Lucky Carter / Hurricane Blues (Bandstand USA 1003)、HI の傘下 MOC にもシングルのあるブルース・マン、Goldwax 114 としてもリリース予定だったが、没になったようだ、よって、Goldwax 114 は欠番。
・ The Ovations / I’m Living Good (Goldwax 117)、Dan Penn & Spooner Oldham が初めて手掛けた Goldwax 作品。途中からホーンが入るセカンド・ヴァージョンは第 3 集に収録。
・ Spencer Wiggins / I’ll Be True To You (Goldwax 118)、これは私も持っていないのだが、ブートレグのようで、Goldwax のカタログにはこの番号のシングルは存在しない。I’ll Be True To You の録音は 65 年頃、Melvin Carter (Peacock 1956) にも歌われた Gene Miller 作のカントリー調の美しいソウル・バラードである。フリップの Love Works That Way は 68 年の Goldwax 最後のセッションで生まれた、Fame に権利があって単独 CD には収められなかったもので Spencer ファンは涙するしかない力のこもったサザン・バラードだ。
・ James Carr / She’s Better Than You (Goldwax 119)、James Carr 伝説の始まりとなったドラマティックなディープ・バラード。
・ The Ovations / Don’t Cry (Goldwax 300)、Louis Williams と一緒にギターも泣きまくり。
・ The Vel Tones / Darling (Goldwax 301)、Stax 傘下の Satellite にも The Canes の名前でシングルを残しているグループ。Darling は The Lyrics (Goldwax 910) の曲、フリップの I Do は Penn & Oldham の曲で、Ben & Spence (Atlantic 2460) も歌っているスパニッシュなダンサーである。
収録されているソウル・ナンバーは既に UK Kent からリリースされている CD でほとんど聴くことができるので、手が出ないという方もおられるかもしれないが、メンフィスのサウンドにこだわりのある方ならば、揃えるしかないコレクションでしょう。なお、P-Vine 配給のものには、ライナーの和訳が付いています、私のように英語が苦手な方は P-Vine 盤がお薦め。UK Ace / Kent には、2 集、3 集も間を空けずにリリースしていただけたらとお願いしたい。
goldwax complete 1
goldwax gold
20:36:03 | もっと楽ソウル | コメント(3) | page top↑
楽CD  GOLDWAX NORTHERN SOUL (KENT)
2009 / 06 / 04 ( Thu )
GOLDWAX NORTHERN SOUL (UK CDKEND 313)
1. Let's Talk It Over / Spencer Wiggins # (Vivid VGCD 001) 2. They Say / The Ovations (Goldwax 314) 3. A Losing Game / James Carr (Goldwax323) 4. Call On Me / Percy Milem (Goldwax 315) 5. Whatcha Gonna Do / Phillip & The Faithfuls # 6. I Do / The Vel Tones (Goldwax 301) 7. So Hard To Get Along / The Lyrics With The Topnotes (Goldwax 105) 8. To Me It's Storming / George & Greer # 9. Every Little Bit Helped Me / Ivory Joe Hunter (Goldwax 307) 10. I Ain't Gonna Cheat On You No More / Wee Willie Walker # (Kent CDKEND 225) 11. You Got To Have Soul / George Jackson # 12. Love Attack / Spencer Wiggins # (Vivid VGCD 101) 13. A Man Is A Mean Thing / Barbara Perry # (Kent CDKEND 291) 14. The Well's Gone Dry / Dorothy Williams (Goldwax 115) 15. That's What I Want To Know / James Carr (Goldwax302) 16. Qualifications / The Ovations (Goldwax 306) 17. It's My Life / Timmy Thomas (Goldwax 327) 18. I Don't Want To Take A Chance / Wee Willie Walker (Goldwax 329) 19. Now Girl / The Lyrics # 20. If You Love Her / Phillip & The Faithfuls # 21. I Slipped A Little / Percy Milem (Goldwax 201?、Vivid VGCD 001) 22. Lonely Man / Spencer Wiggins (Goldwax 330) 23. You Ain't Woman Enough / Barbara Perry # (Vivid VGCD 006) 24. Coming Back To Me Baby / James Carr (Goldwax 309)
# unissued 2009 Notes : Ady Croasdell

UK Kent に感謝感激。Goldwax の音源発掘作業がいまだに終わっていなかったんだとホッとしました。さらに、ノーザン・ソウルともなれば、Ady Croasdell 氏も力が入って当然、まさに渾身のコンピレーションということで、内容も凄い。最も輝いていた時期のメンフィス・サウンドが雄たけびをあげて迫ってくる、デトロイトやシカゴでは味わえぬ歯ごたえのあるジャンプ・ナンバーがこれでもかって具合で、これで胸が騒がないサザン・ソウル・ファンはよほどのリズム音痴でありましょう。まずは、Spencer Wiggins の Love Attack を聴いていただきたい。この曲については、他に気のきいたコメントもできないので、楽本をそのまま引用いたします。前人未到の境地を行く Spencer、ソウルの神様ここに降臨といった感じで、これには言葉を失う。まさに究極のサザン・ダンサー。いまさらですが、原曲は James Carr、このアレンジメントはいったい誰のアイデアであったのか、マッスルショールズ録音なれど、怒涛のごとくメンフィスのリズムが押し寄せてくる。Fame に権利があって Spencer の単独 CD アルバムには収められなかったもの、Vivid よりも音も良く、これは快挙である。Spencer はさらに 2 曲、冒頭の Let's Talk It Over と Lonely Man はイギリスでも人気のあるノーザン・ナンバーだ。前者はメンフィスの Sam Phillips のスタジオで録音されたもの、UK で怪しいシングルもある、軽快なテンポに乗って涼しげなスペンサーも良いではないですか。後者は Chuck Armstrong も歌っているミディアム (Rew 33079、Top Hit 33079) でスペンサーのヴァージョンはちょっと歌謡調でしょうか。Percy Milem がらみは 4 曲、I Slipped A Little は Goldwax 201 (75年のリリース、Mid-South の The Lyrics の Crying Over You の再録とのカップリング) というシングルがあるもの、曲はポップなれど、じんわりディープな歌いっぷりには痺れが走るね。どうして The Goldwax Story に収録されなかったのか不思議だったのが The Lyrics の So Hard To Get Along だ。満を持しての登場かと思いきや、シングルとテイクが違う、最初のギターとホーンの音にあれって感じで、シングル・ヴァージョンは The Complete Goldwax Singles で聴けるので、ご安心を。未発表の Now Girl はミディアムのバラード、Percy Milem が曲のテイストを大切に優しく歌ってくれる。でも、これってノーザン・ソウルじゃないよな。ノーザン・ソウル・ファンには Phillips & The Faithfuls の未発表曲 What’cha Gonna Do で昇天してもらうしかない。Major Lance の Monkey Time を南部に持ってきたような感じの曲、デュオ・スタイルで実に粘っこい歌いっぷりだ。Phillips & The Faithfuls は Phillip Reynolds をリーダーとし、後にマイアミでヒットを飛ばす Timmy Thomas も参加していたグループ、もう1曲の未発表曲 If You Love Her はライナーにあるとおり The Righteous Brothers にインスパイアされたようなバラード・ナンバー、私は Love Me (Goldwax 109) のような渋いアーリー・ソウル・ナンバーを聴きたかったなぁ。そして、George & Greer、さらに George Jackson のお初の曲にも出会えるなんて、興奮はまだまだ続くのであります。To Me It’s Storming は George の声はほとんど聞こえなくて、Dan Greer のソロと言った方が適当でしょう、軽やかなサザン・ミディアムで、グループ・ソウルの味わいもある好曲。Love Attack も凄いが、驚きの 1 曲と言うことでは、George Jackson の You Gotta Have Soul が一番かもしれない。James Carr も歌っている曲、James に引けを取らぬ歌いっぷりで抜群のジャンプ・ナンバー。しかしです、これを最初に聴いた時は私のイメージする George Jackson とはかなり違っていたので、繰り返して聴くこと十数回。もう少しキーが高かったような気もするが声は疑いようが無い、バラードだけでなくアップ・ナンバーでも押しては引くといった感じの歌いっぷりが持ち味だったはずが、ここでは押しまくってハードな歌いっぷりだ。一瞬、Spencer Wiggins みたいだなと思ったほど。おそらく彼の最もハードなダンス・ナンバー、HI で録音された Bart Jackson 名義の Dancing Man (Decca 32317) と聴き比べてみても、この Goldwax 録音は異色と言える。なお、George Jackson、Earl Cage と並んでライターに名前のある Mary Ingram は George & Greer のプロデュースで Bennett からシングルを出している Marjorie Ingram のことであろう。The Vel Tones の I Do と Ivory Joe Hunter の Every Little Bit Helped Me はシングル曲、Vel Tones は Satellite にも作品があり、Stax では The Canes の名前でシングルのあるグループ。I Do は Penn & Oldham のペンとなるドリフターズっぽいビーチ・ミュージック。Ivory Joe Hunter は Since I Met You Baby のヒットで知られる 40 年代から活躍しているベテラン R&B シンガー、これまた懐かしい雰囲気で楽しくなれるダンス・ナンバーだ。ジャケ写にもなっている Barbara Perry の 2 曲は、既に Kent と Vivid で既発のもの A Man Is A Mean Thing はメンフィスのバンド・サウンドに歌をのせたような感じかな、実にかっこいいロッキン・ダンサー、You Ain't Woman Enough はカントリー・スタイルのミディアム・ナンバーとなっている。The Ovations、James Carr、Dorothy Williams、Wee Willie Walker、Timmy Thomas は単独 CD や The Goldwax Story に収録済のもの。The Ovations の They Say はグレートと言うしかないね。Dorothy Williams は Volt にシングルもある女性、いかにもメンフィスといった匂いのある The Well's Gone Dry は Bandstand USA からのリリースがオリジナルとなる。Wee Willie Walker の I Ain't Gonna Cheat On You No More は Sam Cooke のカヴァーです。以上、メンフィスのリズムがいっぱい詰まって弾け飛ぶコレクション、Spencer Wiggins の Love Attack だけではすまされない素晴しい内容である。
goldwax northern soul
【お知らせ】 BIRTH OF SOUL at 8/8 in BLUE HEAT
アーリー・ソウル・シングル・ナイト。温故知新、知られざるディープでソウルフルな世界がいま明らかに。水先案内DJは、佐野勝明、森島繁美、永井博。
【お知らせ】 今週末のBLUE HEATのSOULCITY USA – DETROIT は土曜日開催ですので、お間違えのなきようお願いします。
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