SOUL 45 MY BEST MOTOWN
2014 / 05 / 21 ( Wed )
私の愛聴盤となっている A Cellarful Of Motown (Universal) の CD アルバム、けっこう中古のコーナーで格安で売られている。いつも見かけるたびに、いったいモータウンを真剣に聴いている人って何人いるのか、新たなモータウン・ファンって何人いるのかって、淋しい気持ちになってしまう。
CD のリリース状況を見ると、Motown Sings Motown Treasures (Hip-O Select / Universal) を皮切りに、ここ 15 年くらいの間、Universal、Hip-O Select、UK Kent と複数のレーベルから様々な形で CD イシューされ、それは今も続いている。まことに結構な状況で、資料的に充実したものが多く、新たに発掘された未発表音源の量とクオリティーの高さにはいつも驚かされる。しかし、しかしである。私の周りではさっぱり話題にならず、世間的にもモータウンが盛り上がっているなんてことは聞いたことがない、いったいどうなっているんでしょう。
そんなこんなで、モータウンについては、シングルもアルバムもレコードは好きなものを持っているだけで、コレクターというレベルにはほど遠いのだが、CD 音源をきちんと整理して、自分なりに何か書いてみたいと常々思っている。でも、これがなかなか果たせない。「楽ソウル」でもほとんど取り上げなかったし、とりあえず、毎度のシングル・レビューで、私のモータウン愛についてちょっと告白。まず、今のマイ・ベスト・モータウン・シングルを 10 枚選んでみた。

hattie littles 1405
Hattie Littles / Here You Come (Gordy 7007) ’62
これっきり 1 枚のシングルしか出せなかった女性、ブルースを歌っていたようで、A 面は重々しい年代物のバラード。一方、こちら B 面は、The Fayettes というアンノウン・ガール・グループを従えて歌われたポップな R&B ナンバー。ベリー・ゴーディーの書いた曲、当時のドリフターズなんかに通じる魅力があるかな。恋する純な乙女心を肝っ玉母さんが歌ってくれるってかんじで、頼もしい気分でロマンチックになれます。
miracles 1405
The Miracles / Heartbreak Road (Tamla 54092) ‘64
A 面の The Man In You はミラクルズならではのサウンド。またも私の押しは B 面となるミディアムの佳品、まことにチャーミングなテンポ、楽しくていつまでも繰り返して聴きたくなる、魔法のような曲。クローデットが中心のぶ厚いコーラスもぐっと前面に出てきて、いい感じだ。こんなの聴くと、スモーキー・ロビンソンはサム・クックと共通したテイストを持ったシンガーだということが良く分かる。
temptations 1405
The Temptations / Since I Lost My Baby (Gordy 7043) ‘65
ピアノの音が大好きで、テンプスのマイ・フェヴァリットはずっと It’s Growing (Gordy 7040) と決めていたが、最近になって、一番はこの曲だと思うようになった。モータウンで1枚と言われても、これは変わらないかもしれない。天才スモーキーが手掛けた曲、尊敬するネルソン・ジョージ氏も 「モータウン・ミュージック」(注) で 「デヴィッド・ラフィンの最高傑作」 と言っておられます。以前、素晴しい音響設備でこのシングルをかけたら、まさに天に昇って行くような感じでありました。
(注)翻訳は早川書房、図書館にもあるはず。モータウンが2倍も3倍も楽しくなる本です。
fantastic 4 1405
The Fantastic Four / Can’t Stop Looking For My Baby (Ric Tic 121) ‘66
James Epps の声って、一発で分かるね。これは LP (Soul 717) にも収録されている極めつけのデトロイト・ダンサーだが、モータウンが Ric Tic を買収し、その音源をプレスしただけなので、正確にはモータウン産とは言えない。それ故か、リック・ティックのシングルで先のアルバム未収録が 7 曲あり、それらはCDイシューされていない。中でも、Girl Have Pity / Live Up To What She Thinks (Ric Tic 119)、Ain’t Love Wonderful (Ric Tic 122) の 3 曲は極上。モータウンに権利が無いのかもしれないが、UK Kent あたりに、なんとかしてくれとお願いしたいところだ。
four tops 1405
Four Tops / I Like Every Thing About You (Motown 1096) ‘66
先輩の同時代モータウン・ファンに好きなグループはと聞いたら、フォー・トップスという回答が返ってきた。そんな経験が何回かあって、テンプスよりフォー・トップスを挙げるのが通だなんてことでもなさそうである。ポップなデトロイト・ビートに弾けるリーヴァイ・スタッブスの圧倒的ボーカルこそ、モータウン・サウンドの最初の衝撃だったのかもしれない。私の一番のお気に入りは、血が騒ぐようなダンス・ナンバーではなく、テンダーなバラード。HDH の作、緩いテンポで、ちょっぴり憂いを含んだメロディーが流麗でこの上なく美しい。これに全世界の苦悩を背負ったかのようなリーヴァイの真摯なボーカルが乗っかるのだから、悶絶もの。モータウンの隠れ名曲、先に Eddie Holland が Too Late To Cry のタイトルで録音していたがお蔵入りとなっていたもの、Chuck Jackson も LP で取り上げており、最初でぼやいた A Cellarful Of Motown では、デニス・エドワーズのコントゥアーズ・ヴァージョンも聴ける。まあ、ぶっちぎりでこのフォー・トップス・ヴァージョンが感動的ですけど。
tammi terrell 1405
Tammi Terrell / This Old Heart Of Mine (Motown 1138) ‘67
モータウンで一番男好きする女性かな。女に敵が多そうなタイプかも知れない。HDH とシルヴィア・モイ作のアイズレー・ブラザーズのヒット・カヴァー。ダイアナ・ロスみたいに優しくソフトに歌っているが、自信満々のダイアナには無い儚い哀愁がボーカルからにじんでくる。笑われそうだが、私はこの軽やかなダンサーを聴いて、切なくて切なくて涙が出てくるのである。この曲が巷で流れていた頃、タミーは脳腫瘍で入院、これが彼女の最後のシングルとなってしまった。
contours 1405
Contours / Baby Hit And Run (UK Tamla Motown 886) ‘67
ノーザンソウル・ファンには説明不要の決定的な曲。74 年に UK からリリースされたコントゥアーズのセカンド LP “ Baby Hit And Run “ (UK Tamla Motown MFP 50054) に収録され初めて日の目を見た曲、録音は 67 年で、リード・シンガーのデニス・エドワーズがデヴィッド・ラフィン脱退後のテンプテーションズに急遽加入、混乱を避けるためにリリースされなかった事情がある。シングルも UK 盤のみ。これはもしかすると、モータウンで最も熱く興奮させてくれるダンス・ナンバーかもしれない。ビリー・ゴードン (Do You Love Meを歌っている人) のリードとなる未発表の 65 年録音もあり、そちらも素晴しく荒々しい、A Cellarful Of Motown に収録されているので、是非、聴き比べていただきたい。
marv johnson 1405
Marv Johnson / I’ll Pick A Rose For My Rose (Gordy 7077) ‘68
モータウン・ファン百人に聞きました (たとえが古い) をやれば、ベスト 5 には入るのではないだろうか。本国ではヒットしなかったが、イギリスでは、この曲をタイトルとした LP も出ているほど支持の高い曲。これ聴くとソワソワウキウキ、どうしても落ち着きをなくしてしまいます。United Artists でヒットも多い人、あまりデトロイトっぽくなく、シカゴやニューヨークのシンガーにも通じるタイプというところが面白い。モータウン音源を完全収録した UK Kent の CD アルバムはそんな彼の魅力が全開の必聴盤だ。
gladys knight 1405
Gladys Knight & The Pips / No One Could Love You More (UK Tamla Motown 864) ‘71
育ちが違うので、どうしてもモータウンでは外様といったイメージ。その実力が正当に扱われたかどうかは別として、グラディスの個性もつぶされることなく、数多くのヒットをとばしている。このシングルは UK 盤のみ、グラディス・ナイトというシンガーの凄さにただただ圧倒されるダンシング・バラッド、歌い始めて、たちまち胸をわしづかみにされる。この崇高とも言える素晴しさと感動をなんと表現すればよいのだろうか。イベントでもよくかける。ほとんどの人がシングル・オンリーと思って近づいてくるけど、名盤 “ Standing Ovation “ (Soul 736) の B 面最後の曲なんですよ。
spinners 1405
The Spinners / It’s A Shame (V.I.P.25057) ‘70
オリジナル・スピナーズの Sweet Thing (Motown 1067) も愛聴盤。こちらは G.C.キャメロンが新たに加入してからの大ヒット曲。モータウンでは一番聴いた曲かもしれない。なぜなら、シングルに針を落とすと、いつも 1 回では収まらなくて最低3回は連続して回してしまうから。それほど好きな曲、多分、モータウンで最もシャウトしているダンス・ナンバーがこれだ。

これだけじゃ足りなくて、さらに 10 枚追加です。
satintones 1405
The Satintones / My Beloved (Motown 1000) ‘59
グループのネーミングがイカシている。リード・シンガーは James Ellis というお方で、Robert Bateman も在籍。私の所有するものはストリングス無しの最初の録音、翌年にストリングスを入れて再録されている。最初の録音の方が素朴で好きだな、私の見解では最もモータウンで甘い曲、ドゥーワップ・バラードの残り香も強烈、ずきずき胸がうずいてしょうがない。
marvelettes 1405
The Marvelettes / All The Love I’ve Got (Tamla 54060) ‘62
ヒット曲 Playboy の裏、マーヴ・ジョンソン (UA 226) のカヴァー。グラディス・ホートンのハスキー・ボイスに痺れっぱなし。こんなお声でこんなポップな曲を歌われたんじゃ、ものの分別をわきまえているはずのおじさんも思わずハメをはずしちゃいたくなるってもんです。
marvin gaye 1405
Marvin Gaye / Stubborn Kind Of Fellow (Tamla 54068) ‘62
これデビュー曲じゃないです。4枚目かな、デイブ・ハミルトン曰く、「この歌を聴けばこう言いたくなるさ、『こいつは追いつめられている。全力を尽くして成功をつかもうとしているんだ』 ってね」(前述の 「モータウン・ミュージック」 より)。
eddie holland 1405
Eddie Holland / I’m On The Outside Looking In (Motown 1049) ‘63
けっこう野蛮な歌いっぷりでついつい応援したくなる。イギリスのノーザン・シーンでは超有名曲。
martha vandellas 1405
Martha & The Vandellas / Nowhere To Run (Gordy 7039) ‘65
Heat Wave (Gordy 7022) や Dancing In The Street (Gordy 7033) も好きだけど、さらに好き。マニアックなデトロイト・ビート、ファンク・ブラザーズも最高のパフォーマンス。こんなのが大ヒットするなんて、良い時代だったんだなあとつくづく思っちゃう。
kim weston 1405
Kim Weston / I’m Still Loving You (Tamla 54110) ‘65
ミッキー・スティーヴンソンの奥さん。旦那の後ろ盾もあってか、矢でも鉄砲でも持ってこいといった勇ましさ、実に快調に飛ばしまくり。
brenda holloway 1405
Brenda Holloway / Just Look What You’ve Done (Tamla 54148) ‘67
不思議不思議、歯切れが良いのに、ほっぺが落ちそうになるほどの甘さを含んだダンス・ナンバー。傑作です。
barbara randolph 1405
Barbara Randolph / I Got A Feeling (Soul 35038) ‘67
縦ロゴ SOUL は珍しいかも。フォー・トップス (Motown 1104) のカヴァー、落ち着きのないオリジナルより、断然こちら、思わず手拍子足拍子であります。
isley brothers 1405
Isley Brothers / Why When Love Is Gone (Tamla 54164) ’68
LP からのカットで録音は 66 年、でもサウンドは先走っているね、ファッズ・ギター?に大興奮の怒涛のナンバー、かっこいいね。
david ruffin 1405
David Ruffin / Walk Away From Love (Motown 1376) ‘75
胸が高鳴ってしょうがない、声がかすれて裏返って尾を引くところでは鳥肌が。名曲は数あれど、これは絶対外せません。
21:25:49 | SOUL 45 | コメント(0) | page top↑
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