楽CD  TOMMY TATE / HOLD ON (UK SOULSCAPE)
2008 / 07 / 30 ( Wed )
TOMMY TATE / HOLD ON (UK SOULSCAPE 7010)
- THE JACKSON SESSIONS RARE AND UNRELEASED -
1. Stand By Me (Big Ten 1003) 2. The Whole World Is The Same (Musicor 1340) 3. Where Did I Go (Musicor 1340) 4. Friend Of Mine # 5. My Wife # 6. Little Boy # 7. Get It Over Anyway (Grapevine GVCD 3010) # 8. I've Been Inspired To Love You # 9. All A Part Of Growing Up # 10. I'd Really Like To Know # 11. I Can't Do Enough For You Baby # 12. A Thousand Things To Say # 13. Hold On [To What We've Got] (Grapevine GVCD 3010) # 14. Something To Believe In # 15. Do You Think There's A Chance # 16. Cold And Lonely Man ## 17. Solid Straight And Sound ## 18. You're Not To Blame ## 19. So Hard To Let A Good Thing Go ## 20. Never Too Busy [as Mighty Sam] (UK Hit and Run 5002) 21. Let Us Be Heard [A Prayer For Peace] (Jackson Sound 1005) 22. Peace Is All Need (Jackson Sound 1005) 23. Something Good Going On [bonus track] ##
# Vivid Sound 1017 ## previously unissed
2008 Notes : Tim Whitsett & Paul Mooney

UK Kent からリリースされた Tommy Tate の初期音源集。Big Ten、Musicor、Jackson Sound のシングル 3枚は初の CD 化であろう。79 年にリリースされた Vivid Sound の LP (Vivid VS 1017) 収録の幻の Malaco 録音も全て聴ける、加えて未発表曲 5 曲を含むということで、ディープ・ファンとしてはちょっと興奮、いてもたってもいられない内容だ。さらに、Tim Whitsett が書いたライナー・ノーツで、漠然とした情報しかなかったデビューから Stax 入社までの Tommy Tate のキャリアを知ることができるのもありがたい。45 年、フロリダ州 Homestead に生まれた Tommy Tate。子供の頃、ポリオの後遺症で身体が不自由だったため、祖母がいたミシシッピ州ジャクソンに移っている。健康も回復、ジャクソンのクラブハウスでミュージシャンとして活動するようになったという。ライナーの冒頭では、ドラムをたたきハープを吹きながら歌う Tommy Tate に初めて出会った時の様子が感慨深げに語られている。62 年のことで Tommy はまだ 18 歳、レパートリーは Howlin Wolf、Little Walter に始まり、Sam Cooke、Ray Charles、James Brown、Muddy Waters、Bobby Bland、Jimmy Reed、Chuck Berry、John Lee Hooker、Bo Diddley にまで及んだ。Tim Whitsett は Tommy の 2 歳年上、既に 16 歳にして Imperial と契約、自身のバンド The Imperial Showband でレコーディング経験もあった早熟の天才児。この時から二人は親しくなり、66 年、Tommy は正式にバンドのメンバーとなっている。本 CD ではうかがい知れないが、The Imperial Showband は Stax と袂を分かった Chips Moman からアメリカン・スタジオで働かないかと声がかかったほど実力のあった白人 R&B バンドである。60 年代の Tommy Tate に関しては、楽ソウルでも曖昧な書き方になってしまったので、ここでライナーをもとに彼のシングル・リリースについて整理しておきたい。 
① Tommy Tate - What's The Matter / Ordinarily (ABC-Paramount 10626) - 65 
② The Turrabull Brothers - Push Push / Don't Do It (Temporaire) - 65 
③ Tommy Tate - I'm Taking On Pain / Are You From Heaven (Okeh 7242) - 66 
④ Tommy Tate - A Lover's Reward / Big Blue Diamonds (Okeh 7253) - 67 
⑤ Tommy Yates - If You're Looking For A Fool / Darling, Something's Gotta Give (Verve 10556) - 67 
⑥ Andy Chapman - Happy Is The Man / Double Your Satisfaction (Atco 6558) - 68 
⑦ Tommy & The Derbys - Handy Andy / Don't Play The Role (Swing) - 66 
⑧ Tommy Tate - Stand By Me / Dee's Village [Inst] (Big Ten 1003) - 66 
⑨ The Imperial Showband featuring Tommy Tate - The Whole World Is The Same / Where Did I Go (Musicor 1340) - 69 
① の ABC‐Paramount 盤がデビュー・シングル。Bob McRee、Cliff & Ed Thomas 兄弟の 3 人がジャクソンにレコーディング・スタジオと制作会社 Mississippi Artists Corp (MAC) プロダクションを設立、65 年、地元のシンガーとして最初にスカウトされたのが Tommy Tate であった。The Imperial Showband をバックに吹き込まれたものだが、曲についての情報も無く、私も未だに聴けていない。② は ① のアフター・セッションで録音されたもの。ということで、The Turrabull Brothers となっているが The Imperial Showband によるもの。リードは Tim Whitsett、バンドのサックス Jimmy Hodo と Tommy Tate がバック・コーラスにまわっている。Tim の言葉によるとこのシングルはお遊びで作ったもので、売り物にするようなものではなかったらしい。66 年に録音されたのが ③ から ⑧、③④⑤⑥ は楽本 (p.117-118) でも取り上げたものだ。Jerry Puckett & Cliff Thomas が書いた MAC プロダクション制作の I'm Taking On Pain (Okeh) は美しく恍惚と酔わせる白眉のバラード、これを聴いているので ABC 盤の内容が気になってしょうがない。④ はカントリー畑の Billy Sherrill が制作、録音はナッシュヴィルかもしれない。Big Blue Diamond は Little Willie John も歌っているクラシカルな曲、翌 67 年にシングル・リリースされている。⑤ と ⑥ は変名で発表されており、4 曲とも Thomas - McRee - Thomas の作。⑤ の Verve 盤は Chips Moman のアメリカン・スタジオ録音。レーベルには and The Imperial Showband となっており、メンフィスのバックでは無いようだ。両面、しんみりディープな佳曲である。⑥ にはちょっと問題が。デモとして録音した Tommy は Happy Is The Man がリリースされるとは承知していなかったようだ。2 年後の 68 年に Andy Chapman 名義で Double Your Satisfaction を B 面に Atco から発表されているが、B 面は Tommy 自身が記憶に無く、白人シンガーの Ben Atkins (Youngstown、Goldwax、Josie 等にシングルあり) が歌っているとの資料もある。改めて聴くと、これは Tommy Tate の声ではない。なお、⑤ と ⑥ はHuey Meaux の制作となっているが、ライナーには Huey Meaux の名前が何故か出てこない。⑦ は聴けていないシングル。The Imperial Showband がバックを務め、Bob McRee のレーベル Swing からリリースされている。コーラスの The Derbys は ABC からシングルもある Dorothy Moore のグループ The Dolletts (The Poppies の前身) の変名、この頃、Dorothy はバンドのツアー・メンバーとして活動していたようだ。Tommy も正式に The Imperial Showband のリード・シンガーとなり、さっそく McRee & Thomas Brothers の新スタジオ Grits & Gravy で行ったセッションの成果が ⑧ の Stand By Me だ。Tommy もバンドも手馴れた曲ということでワン・テイクで録られている。レコードにする予定ではなかったが、Bob McRee が気に入り、Big Ten (これも Bob McRee のレーベル) からリリースされ、McRee & Thomas Brothers との仕事はこれが最後となった (余談となるが、この優れたライター・チーム McRee & Thomas Brothers が書いた曲では Peggy & Jo Jo Benson の Lover's Holiday が大ヒットしている)。67 年には、ジャクソンにあったペプシコのボトリング工場を改装して Malaco スタジオがスタートする。スタジオ名は設立者の Mitchell Malouf と Tommy Couch の名前に由来、2 人はミシシッピ大学在学中の 62 年、Tim のバンドのブッキングをしていたという。68 年半ば、長いツアーから帰った The Imperial Showband、メンバーの徴兵等で 7 人中残っていたのは Tim と弟の Carson Whitsett、そして Tommy Tate の 3 人だけだった。そんな状態の中、Tommy Couch の強い薦めで制作されたのが ⑨ の Musicor のシングル。これは楽ソウルでもけなしてしまったものだ。以上 9 枚、本 CD に収録されているのは Big Ten の Stand By Me と Musicor のシングル計 3 曲。ライナーによれば、ABC Paramout 及び Swing の音源も入れたかったが、マスターもレコードもダメージがあり、断念せざるを得なかったとのこと。これは私も残念でしょうがない。Stand By Me はバッキングが潔いほどシンプル、歌いっぷりは実にソウルフルで、ヴォーカルのディテールをじっくりと噛みしめて聴きたい曲だ。残る 20 曲のうち 18 曲は 68~69 年にかけ Malaco で録音された未発表ナンバーとなる。Musicor と同じセッションのものが You're Not To Blame。バンド解散後、Tim が最初に手掛けたのが I've Been Inspired To Love You と So Hard To Let A Good Thing Go の 2 曲。Carson & Tate のペンとなるジャンプとミディアム。ともに完成度が高く力のこもった曲だが、リリースはかなわなかった。前者はジャマイカン・デュオ The Blues Busters が Fame で録音し、シングル・リリース (Shout 235) されている。Tim Whitsett が書いた Get It Over Anyway は 68 年の夏に録音、これは私も大好きなスロー・バラード、節々とした深みのあるヴォーカルに涙である。同年暮、Tommy Tate はソング・ライター兼シンガーとして、Carson Whitsett はソング・ライターとして Malaco と契約。Never Too Busy を除き残る収録曲はホーンが付いていないデモ録音。Carson & Tate 作では、やはり Hold On であろう。James Carr (Atlantic 2803) で有名、大海原に漕ぎ出すようなゆったりとした Tommy の歌いっぷりも格別だ。Friend Of Mine は Jerry Puckett & Joe Lewis 作で地元ジャクソンのミュージシャン達に好んで歌われていたブルース・ナンバー、バッキングも重厚で陰影に富んだヴォーカルが静かに沁みる。My Wife は Tommyが最初に書いた曲、暖かみのある実直一途なバラードで心が洗われる。ポップなリズムの Little Boy はThe Staple Singers が LP で取り上げているね。ライターに Johnny Baylor の名前もある I'd Really Like To Know はいかにも Tommy 節といった感じのバラード、Luther Ingram & Johnny Baylor 作の Do You Think There's A Chance は Luther も 4 枚目の LP で歌っているものだ。軽快なアップ Cold And Lonely Man も Ingram & Baylor が書いた曲ということで、この頃から彼は Baylor と接点があったのだろうか。そして、優しさがにじみ出ているミディアム I Can't Do Enough For You Baby では Tommy の声がダビングされ、燃えたぎるものが我慢できないといったラストが印象深い。Joe Shamwell の作となる Never Too Busy は不本意ながらシングル・リリースがある。UK でプレスされた Mighty Sam (Hit and Run 5002) の Mr. & Mrs. Untrue の B 面に手違いで Tommy Tate のヴァージョンがカットされているのだ (Malacoの原米盤ではクレジットどおり Mighty Sam の歌が収められている)。なお、ラスト近くで割って入るのは Mighty Sam の声。残る 2 曲 Let Us Be Heard と Peace Is All Need は 70 年の作、当時、彼のマネージャーであった Julian Russell のレーベル Jackson Sound からリリースされたもの。両面とも Julian の妻 Judith Russell のペンとなるメッセージ性の強い曲、Peace Is All Need でも歌声は相変わらず力強い。70 年 4 月、Tommy と Tim は Stax と契約。その後、Carson も Stax や Malaco 等でライターやキーボード・プレイヤーとして活躍している。ライター業もこなしつつ、Ko Ko、Juana、Sundance と地道に作品を発表していった Tommy Tate、90 年代に入り P-Vine からリリースされた CD アルバム Love Me Now と All Or Nothing は久しぶりに Tim (Urgent ! Record) のプロデュースによるものだった。ソウル人生まっしぐらといった感じであった Tommy Tate も今はジャクソンの病院で車椅子生活のようだ。彼と同い年の Carson は昨年亡くなっている。現在も健在な Tim Whitsett の力なくしてはこの CD コレクションも実現しなかったものかもしれない。これで、省みられることもなく忘却のかなたに消え去ってしまうかに思われた Tommy の若き日の歌声もしばらくは息を吹き返してくれた。全 23 曲、ここには感情をかきたてるような咆哮も涙を抑えきれないあからさまな激情もない。真摯にして実直なるソウル・シンガー Tommy Tate。じっと心を落ち着けて聴けば、彼のありがたみが分かってくるはずだ。
t tate
23:51:47 | もっと楽ソウル | コメント(0) | page top↑
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