とくせん歌謡曲 1
2014 / 12 / 24 ( Wed )
拙宅に遊びに来たソウル・ファンに、ついつい調子に乗って、貧弱な歌謡曲のコレクションを披露してしまうのが私の悪い癖だ。多分、ありがたくないだろうが、年末特別企画、マイ・コレクションから 14 枚、発表年順に紹介しよう。

1 mahina tashiro aishichattanoyo
和田弘とマヒナスターズ+田代美代子 「愛して愛して愛しちゃったのよ」 (Victor SV-237)
1965.6 浜口庫之助作詞作曲
ハワイアンと小唄が仲良くシェイクハンド、こんなに切なく愛らしいラブ・ソングはめったにない。「生きているのが つらくなるよな長い夜」 なんて胸がうずくフレーズも、ハマクラ先生、ありがとうございます。封筒型のジャケットも洒落ているね。
2 hashi yukio swim
橋幸夫 「あの娘と僕」 (スイム・スイム・スイム) (Victor SV-248)
1965.6 佐伯孝夫作詞、吉田正作曲
この人、演歌歌手じゃないよ。正統派和製ポップス・シンガーの草分け、軽いスウイング感が心地よく、歌唱力も抜群だ。歌は世につれ、好景気にあったからか、この頃の歌謡曲は実に楽しく、これも底抜けに明るい。けっこうヒットしたビーチ歌謡、タイトルからピンとこない方、「渚は恋のパラダイス」 と言ったらお分かりだろうか。吉田正先生の編曲も素晴しく、まことにダンサブル、巧みな男女混声コーラスにも驚いた。
3 kinoshita setsuko nocturne
木下節子 「サマー・ノクターン」 (Victor SV-707)
1968.5 なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲
A 面の 「エキゾチック・ラブ」 よりもこちらの B 面が素晴しい。「60's キューティ・ポップ・コレクション FIRST DATE EDIT」 で初めて聴いて、惚れこんだ。歌謡曲としては地味かもしれないが、しっとりとした質感が堪らない、堂々たる昭和の名曲である。
4a ishida ayumi taiyou
4b ishida ayumi yume
いしだあゆみ 「太陽は泣いている」 (Columbia LL-10058-J)
1968.6 橋本淳作詞、筒美京平作曲
1 人 GS と言ったら、これだろう。溌剌としたアップ・ビート・ナンバー、洗練されていなくて、ズンドコなところも歌謡曲らしくて好き。若さの全てをぶつけたような素朴な歌いっぷりも魅力かな。頑張っているから伝わってくるものってあるよね。B 面の 「夢でいいから」 もソフト・バラードの大傑作、ドリーミーでロマンティック、静かで繊細、上品な甘さがしみてくる。
5 wada akiko doshaburi
和田アキ子 「どしゃぶりの雨の中で」 (RCA JRT-1020)
1969.4 大日方俊子作詞、小田島一彦作曲、山木三郎編曲
セカンド・シングル、演歌っぽいフレージングが特徴的な和製 R&B の良盤。イントロの掴みは強力で、編曲も秀逸だ。ちょっとキーが高めなのかな、苦しげで実直な歌いっぷりに涙、また涙である。
6 hideroza ikinauwasa
ヒデとロザンナ 「粋なうわさ」 (Columbia P-58)
1969.5 橋本淳作詞、筒美京平作曲
昔々、マートルコート近くにあった 「ドードーズ」 のクリスマス・パーティーでこの曲をかけたら、可愛い女の子が目をキラキラさせて 「素敵な曲」 と言ってくれました。シャラララとフレンチ・ポップスみたいに乙なデュエット・ナンバー。むつまじく優しい雰囲気が、泡のように儚げな曲調に見事にマッチしている。
7 okumura chiyo koidore
奥村チヨ 「恋の奴隷」 (Toshiba TP-2162)
1969.6 なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲 
ベティ・スワンの 「メイク・ミー・ユア―ズ」 も同様の趣旨。「恋の奴隷」 は名曲だと言ったら、軽蔑されたことがある。男尊女卑的な歌詞だからだろう、一見、良識めいたものが事の本質を見えなくさせる。私の品格は否定されても、この曲の価値を否定されるのは耐え難い。本当に好きで好きでしょうがなかったら、いったいどうしたら良いのだろう、ここにはストレートで一途な恋心がある。さらに、声に女っ気のないチヨ様がこれでもかと真剣勝負で甘えてくるところが、潔癖でありながら、この曲をとてつもなくエモーショナルなものにしている。PTA や NHK では NG だったようだが、こんな感情表現ができた昔の歌謡曲は凄い。
8a mayuzumi doyou1
8b mayuzumi jun doyou2
黛ジュン 「土曜の夜何かが起きる」 (Capitol CP-1052)
1969.12 なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲
ミニスカ・ダイナマイト炸裂、赤のグロリアとコラボした B 面ジャケットは無敵。歌の上手さもピカイチ、お声も深く心地よい。ときめきのリズム・ナンバー、ゴージャスなバック・サウンドにコブシがくっきり映える。「きらいになんか なったりしない 愛しているわ たとえ何が起きても」 ってところ、実にキャッチ―で歌謡曲ならではの醍醐味に酔いしれてしまう。
9 sakuma kouji maboroshi
佐久間浩二 「まぼろしのブルース」 (Union US-625-J)
1969 藤本卓也作詞作曲 
矢吹健路線の慟哭歌謡。ねっとりとディープなボーカルの存在感はとてつもなく、越えてはいけない一線を越えてしまった感もある。ムーディーなサックス、ゆがんだギターとパーカッション、バックも絢爛だ。驚くなかれ、James Carr と Spencer Wiggins の Love Attack のように、この曲、女性漫才トリオフラワーショーの華ばらさんのアップテンポ・ヴァージョンもあり。
10 kajimeiko jinngiko
梶芽衣子 「仁義子守唄」 (Teichiku SN-975)
1970.7 たちばなじゅん作詞、春川一夫作曲
「さそり」「修羅雪姫」 以前の梶芽衣子、彼女が主演した日活映画 「怪談昇り竜」 (石井輝男監督) の主題歌だ。健さんの 「網走番外地」 の雰囲気、正統女任侠もののイメージだが、この映画、あけてびっくり、石井輝男ワールドが全開。迷走する中、すっきりと少年のようなたたずまいの梶芽衣子の女っぷりが光っている。ジャズ・シンガーのホキ徳田 (当時アーサー・ミラーの奥さん) 扮する盲目の女剣士との一騎打ちはシュール、泣けるラストに花を添えるのがこの曲だ。
11 hirayama miki beautiful
平山三紀 「ビューティフル・ヨコハマ」 (Columbia P-102)
1970.11 橋本淳作詞、筒美京平作曲
ヒラヤマさん、橋本淳と筒美京平コンビのバック・アップで色々なタイプの曲を歌っていて、このデビュー盤が一番歌謡曲っぽい作品かもしれない。一番人気の 「真夏の出来事」 も好きだけど、起承転結がはっきりせず、スカッとしないところもある。でも、これは文句無し、キメキメに決まった横浜歌謡の傑作だ。まさに歌謡曲的にビューティフル、「新宿マドモアゼル」 と並ぶ作詞家橋本淳の代表作。
12 midori mako
緑魔子 「やさしいにっぽん人」 (CineDisc M-7)
1973.1 東陽一作詞、海老沼裕・田山雅光作曲
同名映画の主題歌。高校生の頃、ミドリブタこと下落合本舗の林美雄 (はやしよしお) さんの深夜放送 (パックインミュージック) で何度もかかっていた。この曲を聴くと、懐かしくいろいろなことが思い出される。イントロのギターのつまびきに胸が疼く、天上から舞い降りてきたかのような魔子さんの歌声は妖しい子守唄のようだ。これを歌謡曲と言って良いのか、青臭いニュー・ミュージックではないことは確か。演奏は2本 ? のギターのみ。1 年ほど前に映画も観たが、私にはつまらなく、この歌の印象しか残らなかった。
13 nosaka akihiro shumatsu
野坂昭如 「終末のタンゴ」 (Elec EB-1022)
1974.4 能吉利人作詞、桜井順作曲 
小説家野坂昭如は間違いなく天才である。そして、歌手野坂昭如も天才に違いない。プレイボーイを自称する人は多いが、野坂氏は本当にモテモテだったらしい。天は二物も三物も与えたようで、学生の私にとってはまさしく憧れの存在であった。多くのライブ録音があり、生で歌っても抜群に上手く、野坂節としか表現できないような独特の味わいがある。これはスタジオ録音、いつものように能と桜井コンビが書いたタイトルどおりの曲、真面目なんだが可笑しみのある野坂さんでなければ、この終末のメッセージは伝わってこないだろう。それにしても親父のための歌が無くなってしまったのが淋しい。もしかしたら、歌では無くて素敵な先輩たちがいなくなってしまったのかもしれないな、自省。
14 maggy minenko namida
マギー・ミネンコ 「涙の河」 (King BS-1850)
1974.7 橋本淳作詞、中村泰士作曲
カヴァーも多いようだが、私の聴いた限りでは、このオリジナルの足元にも及ばない。普通の少女が一瞬お姫様になるような、はっとするような輝きがある。曲の良さばかりではなく、歌唱力も際立っていたということだろう。19歳とは思えないしっかりとした歌いっぷり、悲しく美しく力強く、聴くたびごとに様々なニュアンスが伝わってくる、歌謡曲というジャンルでしか生み出しえなかった掛け値なしの傑作バラードだ。
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