楽CD  THE BIRMINGHAM SOUND VOL.2 (Rabbit Factory 04)
2008 / 08 / 15 ( Fri )
BIRMINGHAM SOUND: THE SOUL OF NEAL HEMPHILL VOL.2 (Rabbit Factory 04)
1. Strickly Soul / Bobby Dobyne & The Barefacts # 2. Get Up And Get At It / Unknown # 3. Testify / Cortez Greer # 4. Matchbox / Ralph 'Soul' Jackson (S.O.B. 39431/2) 5. Let Me Be Myself / Chuck Mitchell # 6. I'm A Telling You / Wes Lewis # 7. Work Hard / David Sea # 8. Take My Hand / Frederick Knight # 9. Instrumental / S.O.B. # 10. Soulful Sound Of Music / Bobby Dobyne & The Barefacts (Crown Ltd 120) 11. Da Da Dee Dee Da / Cortez Greer # 12. Everybody's Doin' The Worm / Hope Parker # 13. It Slipped Right By You / Frederick Knight # 14. When You Wake Up / Fletcher Flower # 15. Set Me Free / Sam Frazier # 16. How When Or Where / Frederick Knight # 17. Stop By / Chuck Mitchell # 18. Let's Go To The End Together / Frankie # 19. Take Me Back / Sam Frazier # 20. Best Of My Years / Wes Lewis (Black Kat 8925677) 21. Let Your Sweet Love Surround Me / Ralph 'Soul' Jackson (S.O.B. 39431/2) 22. Knock In For A Second Chance / Lee Wilson (Black Kat 176297) 23. I've Been Lonely For So Long [demo] / Frederick Knight # 24. Set Me Free [alt version] / Ralph 'Soul' Jackson #
# unissued 2008 Notes : John Ciba & Derek Evers

待つこと 2 年、John Ciba 氏編纂による The Birmingham Sound の第 2 弾。アラバマはバーミンガム、Neal Hemphill の Midfield スタジオから発掘された貴重な音源集。70 年前後から 76 年頃の録音となる全 24 曲、うち 19 曲が新発見の未発表曲。つい先週購入し、もう 20 回以上は聴いただろうか、歓喜に震えいまだに興奮さめやらぬといった状態だ。第 1 集 (楽p.248) よりもさらに粒揃いで、大きく期待を上回る素晴しい内容。ディープ・ソウル、サザン・ソウルが拡散していった 70 年代、マッスル・ショールズやメンフィス、ナシュヴィルといった南部のソウル拠点からはちょっと外れたバーミンガム。音楽ビジネスのあり方も大きく変わり、厳しい環境の中、そんな忘れ去られてしまいそうな地に豊かでディープなソウルが数多く残されていたことに驚き感激してしまう。まずは、シングル・コレクターを最も熱くさせてくれる曲からコメントさせていただこう。21 曲目、Ralph 'Soul' Jackson の Let Your Sweet Love Surround Me、楽ソウル絶賛、ディープ・ファン悶絶必至のグレート・サザン・バラードだ。バーミンガムではなく Fame で録音され Neal Hemphill のレーベルからリリースされたもの、Ralph 'Soul' Jackson は Rick Hall の制作で Amy と Atlantic にもシングルを残しているが、曲がイマイチ、でもこちらはど真ん中のソウルで文句なく凄い。このシンガーについては、UK ノーザン・シーンで絶大な人気を誇るモダンでディープな Black Kat のシングル Set Me Free / Take Me Back (Black Kat 276755) が第 1 集に収録されていた。本 CD のラストでは別録音の Set Me Free が聴ける。シングル・テイクよりもテンポ・ダウンしサザン・ソウルっぽいアレンジ、歌いっぷりもかなりラフでディーペスト、これにも参りましたと言うしかない。音に歪みがあったりするものの、私はイシュー・ヴァージョンよりも好き。ライナーを読むと、シングル・クレジットでは With B’ham Rhythm Section となっているが、実際にバックで演奏していたのは Ralph Soul Jackson のツアー・バンド The Explosions で、こちらが Midfield スタジオのバンド B’ham Rhythm Section をバックに歌われたものとのこと。Hemphill の Black Kat レーベルでシングル・リリースのあるものでは 20 曲目の Wes Lewis も人気が高い。楽ソウル (p.81) でレビューしたのは Roscoe Robinson 作の A サイド It’s Gonna Be Hard で Best Of My Years は B サイドの曲。77 年のリリースだが、録音は 70 年代の初めでライターに Sam Dees と並んで名前のある Frederick Knight がプロデュースしたものらしい。いかにも 70 年代のサザン・ソウルといった感じで甘いバラード。そして、同時期に録音されたとおぼしき Wes Lewis の未発表曲 I'm A Telling You には、なんでこんなものがとあせってしまった。69 年に発表されている Buddy Grubbs (Bell 772) と同じ曲ではありませんか。Pensacola の Pap Don Production で制作された Jerry Butler のヒット・カヴァーで楽ソウル (p.50) でもシングル・レビューしているもの。サウンドも歌いっぷりも Buddy Grubbs の Bell 盤を踏襲、伸びやかなディープ・ヴォイスが心地好く、オリジナルに勝るとも劣らない出来ばえとなっている。この歌えるシンガー、シングルは 1 枚のみだが、バーミンガムでは有名なキーボード・プレイヤーで Atlantic と Clintone にシングルのある Alpaca Phase III Band のオリジナル・メンバーだったそうだ。22 曲目 Lee Wilson の Knock In For A Second Chance も Black Kat のシングル曲、70 年代後半の音、シンセが入る軽快なバック・サウンドにのって苦しげなテナーが駆け抜けるサザン・アップ。アラバマは Huntsville の人、確証はないが声から判断するに USA にシングルのあるシンガー (楽p.248) も同じ人でしょう。Bobby Dobyne のダンス・ナンバー Soulful Sound Of Music もやはり Hemphill のレーベル Crown Ltd からリリースされたもの。このシンガー、シカゴの名門グループ The Artistics のメンバーであった Robert Dobyne のこと。もともとアラバマの生まれ。グループ脱退後、Frederick Knight とともにバーミンガム・スタジオでライターとしても活躍している。冒頭 1 曲目でガツンとやられた Strickly Soul は 69 年の未発表曲。粘りのあるジャンプ・ナンバーで Otis Redding っぽいフレージングが冴え渡りまことに爽快。Crown Ltd のシングルと同じセッションでの録音のようだ。この後、Dobyne は Kwanza、Kama Sutra、Now Sound などからもシングルをリリースしており、Spend A Lot Of Years [Loving You] (Kwanza 7714) は力作ディープ・バラードで、一聴の価値あり。残るは全て未発表ナンバー、初めて聴く曲ばかりでワクワクさせてくれる。まずは 2 曲目、正体不明の女性シンガーが歌う Get Up And Get At It。くだけた雰囲気でスウィングするダンス・ナンバー、バックのバンド・サウンドもご機嫌。ソウル・ミュージックの楽しさがいっぱい、スタジオの近所のミュージシャンたちが集まってギグしたものだろうか、これはかなり気に入ってしまって、リピートで繰り返して聴いている。次の Cortez Greer はジョージア州オーガスタのシンガー、ノーザン・ファンには Very Strong On You (Violet 101) というダンサーで知られている。バーミンガム・スタジオのライター&プロデューサーであった Jerry Weaver が書いた Testify と Da Da Dee Dee Da の 2 曲が聴けるが、特に後者のサザン・ダンサーが素晴しい。作者自身が Da-Dot-N-De-Da (Jackson Sound 1007) としてもシングル・リリースしている曲 (楽p.126)。Testify も深みのある声で歌われたミディアム・アップ。Cortez Greer にも驚いたが、Chuck Mitchell の方がシングル・コレクターには興味深いシンガーかもしれない。ルイジアナはバトン・ルージュの人、こんなところで出会えるとは思ってもいなかった。ソロで Your Good Loving / Her Precious Love (Budix 133)、The Herculoids 名義で When Something Is Wrong With My Baby (Herculoids 1002) と僅か 2 枚のレア・シングルを残すのみ。The Herculoids は Whit や J-Mer にシングルのある Merle Spears とデュオで歌ったもので、かなりエキサイティングな Sam & Dave のカヴァー、CD リイシューもされていて Confessing : Deep Soul From New Orleans (UK Grapevine) で聴くことができる (楽p.277)。Roscoe Robinson がバーミンガムに連れてきたようで、Let Me Be Myself は第1集にも収められていたRoscoe の曲。オリジナルと比べるとあっさりしているが、テンダーなテナー・ボイスで気風の良い歌いっぷりだ。Stop By [Here, Lord] も Roscoe Robinson が The Five Blind Boys Of Alabama で歌っていたゴスペル・スタンダードで、こちらも熱っぽい。ゴスペルと言えば、地元バーミンガムでゴスペルを歌っていたのが若き日の David Sea。昨年 11 月、テンプテーションズの日本公演でも David Ruffin 顔負けのシャウトで実力を見せ付けてくれた。彼の最初のレコーディングは Midfield スタジオで Jerry Weaver がプロデュースしたもの。世に出ることはなかったが、この The Birmingham Sound のおかげで日の目を見たことを喜びたい。重いリズム・ナンバー Hard Work、第1集の Bobby Womack みたいにめちゃくちゃディープな 2 曲も衝撃的だった。86 年 Magic City 盤で注目された David Sea、初期のシングルでは 82 年 Hy-Tyde (T-Jay) から 1 枚、84 年 Hemphill の Crown Limited から 2 枚リリースがある。バーミンガムで最も成功したシンガーとなるとライターやプロデューサーとしても活躍した Frederick Knight だが、Rob Bowman の Stax 読本によれば、売れずにくすぶっていた Knight はデモ録音をせっせと Stax に持ち込んでは Tim Whitsett に 「人と違うことをしないとだめだね」 とダメ出しされていたという。ヒット曲 I've Been Lonely For So Long はそんな言葉に発奮して生まれた曲、収録されたデモ・ヴァージョンは Tim Whitsett に送られたものなのだろうか。他 3 曲では It Slipped Right By You が好きかな、How When Or Where でも歌はともかくライターとしての才能が光っている。12 曲目の Hope Parker は女性、私にはピンと来ないタイプのテンポの速いファンク・ナンバー。やはり初めてお目にかかるのが Fletcher Flower、本名は Fletcher Hewell で Jo Jo Benson の兄弟、Ralph Soul Jackson とは従兄弟にあたるらしい。ここに収められた Cash McCall (Thomas 307) のカヴァー When You Wake Up を聴く限り、歌の実力は身内の 2 人には負けるものの並ではない。意外に感動してしまったのが 15 曲目と 19 曲目、Ralph Soul Jackson の Black Kat 盤両面を再録している Sam Frazier だ。シングルも 2 枚持っていて知らない人じゃなかったのだが。特に Take Me Back が素晴しい、グレートいっても良いほど。もたっとスカッとしないディープ・ヴォイスで切々と一途な歌いっぷり、もう涙がちょちょ切れそうになる。楽本にも取り上げなかったし申し訳無さもあり、ここで Sam Frazier のシングルも聴き直してみよう。やはり Midfield スタジオで 76 年に録音されたもので、2 枚 4 曲とも Jerry Weaver が曲を書いている。I Got Tell Somebody (Goodie Train 055) は優しさに中にも硬派な気概あり、コブシもまわってディープなバラード。GSF の Liberation も歌っている Don’t Spread Your Love Around (Goodie Train 056) もそこはかとないイナタさが味なモダン・ミディアム。ということでコレクションの価値あり、この 2 枚は珍しくないはず。最後の 1 曲となってしまった 18 曲目、ファルセット・シンガー Frankie が歌う Let's Go To The End Together は甘々でやるせないバラード、かなりよろしき雰囲気でスウィート・ソウル・ファンならずともソファーに泣き崩れること必至、これは抜群に曲が良いね。以上 24 曲、Frederick Knight や David Sea を除けば、満足にシングル盤も出せなかったマイナー、無名シンガーたちがほとんど。配管工事の仕事を本業としていたスタジオ・オーナー Neal Hemphill (1985 年、55 歳で亡くなっている) は地元の音楽と地元の才能を愛した人物。商売抜きでやる気のある者ならば誰にでもスタジオを開放、白人や黒人といった区別もなかった。成功はかなわなかったが、そんな暖かい環境の中で生み出された楽曲の数々。ソウル愛とふるさと愛に突き動かされた John Ciba 氏によって実現した企画、第 1 集を含め、ソウルフルでシリアスなソウルに出会いたい方なら、絶対に聴き逃せない CD コレクションだ。
birmingham vol2
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