THE OTHER SIDE OF THE TRAX : STAX-VOLT & HARMONY OF THE SOUL (KENT)
2016 / 04 / 22 ( Fri )
最近のヘヴィー・ローテイション CD を 2 点紹介。

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THE OTHER SIDE OF THE TRAX : STAX-VOLT 45rpm RARITIES 1964-1968 (KENT CDTOP 442)
1968 年、スタックスとアトランティックの契約が解消された際 (ワーナーのアトランティック買収による)、それまでリリースされたレコードの出版権がアトランティックにあったため、以降、スタックスはシングル音源をアルバム化することができず、シングルでしか聴けない音源が多数ある。レーベルでは、ドーナツ盤の山がツイストしているブルーのスタックスと赤い稲妻のヴォルト、番号では Stax 253 (Johnny Taylor) まで、Volt 163 (Otis Redding) まで。レーベルデザインが変わった黄色のスタックスと青のヴォルトについては、KENT が未発表も含め積極的に CD 化してくれているし、オリジナルのアルバムでカバーできているものも多い。反面、68 年以前のシングル音源 CD リイシューについては、かなり不充分な状況だ。尊敬する Rob Bowman 氏のライナー・ノーツがあるので国内盤を買ってしまったが、244 曲収録の COMPLETE STAX-VOLT SINGLES : 1959-1968 (Warner Music Japan) はほぼ A 面のみの不完全版、B 面を省いてしまう神経が全く理解できず、怒りさえ感じる名前倒れの BOX である。
そんな不満な思いをくすぶらせていたので、この KENT のコンピには溜飲が下がった。さすが KENT さん、不遇の B 面サイドに光を当てた好企画、CD 化されていないものという縛りがあるので、どちらかというと地味な曲が並ぶが、どうしてどうして、悪くないどころかかなり良い。ジョニー・テイラー、カーラ・トーマス、ウィリアム・ベル、エディ・フロイドといったスタックスの屋台骨を支えたシンガーはもちろん、シングル 1 枚きりの忘れ去られてしまったシンガーまで収録。ソウル・インストもあるし、様々なタイプの曲がちりばめられ、スタックスの魅力は胸がかきむしられるようなディープなバラードや晴れやかなダンス・ナンバーばかりじゃないのだということを教えてくれる。そして、1964 年というのが重要だ。Booker T. & The M.G.'s に Donald “Duck” Dunn が加わった年、ほとんどの曲でバックを務めているのは、ブッカ―・T、スティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダック・ダン、アル・ジャクソン、これにマーキーズ・ホーンズ、ときにはアイザック・ヘイズが加わったものだ。家庭的な雰囲気の中、良き仲間たちが切磋琢磨していた夢のような時代、決して出しゃばらず、暖かく寄り添うようなバッキングがいいじゃありませんか。この CD コンピ、何度も聴いているうちに、一つ一つの曲というよりもスタックスの黄金期のサウンドにじっくり酔わせていただくアルバムという気がしてきた。
収録されているシンガーについて。先にあげた 4 人以外で、楽 SOUL で取り上げているのは ⑤⑬ Barbara Brown (137p)、⑨ Johnny Daye (36p)、⑩ Eddie Jefferson (69p)、⑫ Oscar Mack (83p)、⑯ Gorgeous George (47p) といったところ。スタックスと Goldwax は縁があるようで、エディー・ジェファーソン、⑪ Dorothy Williams、ベテランの ③ Ivory Joe Hunter はゴールドワックスからもシングル・リリースがある。なお、㉓ Linda Lyndell はマイアミ録音で、⑤ の録音はChips Momanのスタジオ。⑮ はアトランティック盤、カーラ・トーマスのソロ・シングルは65年春まではアトランティックからリリースされている。
この企画の第 2 弾にも期待、それ以上に、William Bell、Johnnie Taylor、Eddie Floyd のブルー・スタックスのコンプリート・シングル集を KENT にはお願いしたい。
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Barbara & The Browns / Please Be Honest With Me (Stax 158) 1964
Big Party (Wil Mo 101、Stax 150) における Clarence Nelson のイントロのギターも凄いけど、このクロッパーのギターも味わい深くて大好き。CD アルバムのハイ・ライトとなっている曲だ。

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HARMONY OF THE SOUL : VOCAL GROUPS 1962-1977 (KENTCDKEND 445)
期待感も無くて収録曲も確認せずに買ってきて、聴きはじめたら、あれあれと言う間に引き込まれてしまった。昔良く聴いた懐かしい曲の間にお初の曲が挟まっているというのが、なんだかワクワクと楽しい。以来、会う人には必ず大推薦しているコンピレーション、ハーモニーと入ったタイトルも明確でよろしい。全 24 曲でうち 10 曲が未発表曲 (1 曲は既発)、スローからミディアムの甘く切なく、時にディープなナンバーが続々、これは王道グループ・ソウル・ファンの心を鷲づかみにすること間違い無し。
Mainstream のシングル 3 枚 ③ Special Delivery ⑧ The Dramatic Experience ㉓ The Fabulous Determinations がまず懐かしい、特に I Destroyed Our Love には隙を突かれたって感じで参った、久しぶりにアルバムも聴き直しました。⑦ The Smith Brothers も定番でしょう。私好みということでは ⑫ Brothers Of Soul が入っているところが憎い。⑰ The Stealers は Crash 盤の逆サイド Just Beginning To Love You が有名ノーザンだが、Crying Bitter Tears のイナタさも捨てがたい。Drumhead の ⑱ The Perfections、フリップの Don’t Take Your Love From Me は記憶にあったが、こちらの Since I Lost My Baby はほとんど聴いていなかった、テンプスよりもはるかにローカル、侘しさがぐっとしみます、これ、Jack Ashford のプロデュースなんですね。既に数曲 CD 化されている ① The Pretenders、これまでモダンな Just Be Yourself (Carnival 559) や I Call It Love (Carnival 560) ばかりを持ち上げてしまっていたことを反省、KENT には Lee Williams & The Cymbals とのカップリングでコンプリート・アルバムの企画を持ち込みたいくらい、まことに素敵なグループであります。④ The Determinations はこんなに良かったかな。単独アルバムにも収録されていた ⑩ The Superbsは甘くて爽やか、これはかなりレアかもしれない。⑬ The Imaginations と ⑭ The M-M’s & The Peanuts はオーソドックスなコーラス・バラード、ちょっと箸休め的な感じなれど、気分がすっと落ち着きます。㉒ The Natural Resources Unpolluted は甘党の方ならばっちり、私は Dee Dee のシングルの方が好きかな。② Vernon Green & The Medallions はシングル持って無くて初めて聴く、ノーブルでテンダー、感傷的なメロディー・ラインに涙であります。
未発表曲も全く遜色のないレベル、もう何度も聴いてしまったので、昔から知っている曲のような錯覚すら感じてしまう。⑤ The Windjammers は Boola Boola や Kent、Hep Me にシングルがあるグループ、71 年、ウエスト・コーストの Golden State スタジオ録音、失礼ながら、リリース曲よりもずっと出来は良い。⑥ The Lovers もゴールデン・ステイト録音、ちょっと古くて 66 年の作、インプレッションズ・スタイルの好曲、本コンピ、インプレッションズ・スタイルはこれと ⑰ くらいで意外に少ない。このグループ、Philips にもシングルがあり、65 年、The Emotions 名義で Vardan に、その後、The Pacesetters 名義で Boola Boola、Minit、Fantasy にもシングルを残している。⑨ The Webb People はデトロイトで Dave Hamilton の製作、甘ったるいミディアム、夢のひと時といった儚げさが好き。このグループ、Soul In Harmony (KENT CDKEND 409) にも未発表曲が収録されていて、そちらも素晴しいスウィート・ナンバー、その筋の方はお聴き逃しのないように。⑪ の Choice Of Colors は Ron Henderson のグループにあらず、Money レコードのオーナー Ruth Dolphin の息子のグループ。ソフト・タッチのゆったりミディアム、これまた、お蔵入りとなっていたのが不思議なくらいチャーミングな曲だ。驚いたのが、⑮ The Del-Rios (楽SOUL 174p 参照) だ。突然ルイス・ウィリアムスの歌声がスピーカーから聞こえてきた時は焦りましたね、思わず収録曲名を確認。バックはギターが 2 本かな、ソウルフルで喜びに満ちた歌声、もう申し分無し。でも、これって、The Ovations のゴールドワックスのデビュー曲 (Goldwax 110) ですよね。詳しいことが知りたくてライナー・ノーツを見ると、1962 年の Stax 音源とあるが、ライター・クレジットにはオヴェイションズのメンバーの名前がある。ライナー文を読んでも事情が良く分からない。リオスの他のメンバー、ウィリアム・ベルやノーマン・ウエストがからんでいる 62 年当時の録音とは思えず、もっと後のものという気がするのだが。分からないことはさておき、このデモ録音、ギターの音色も心地よく、コーラスも躍動感があって、ルイス・ウィリアムの歌いっぷりも最高、なので、完成バージョンよりも好きかも。続く ⑯ The Turn Arounds の I Want You To Know も素晴しい、サム・クック・フォロワー大好きディープ・ファンには堪えられないバラードだろう。このグループについては、Lost Without You : The Best Of Kent Ballads (KENT CDKEND 439) の当ブログ 20151214 を参照ください。⑲ Jesse Johnson は Turf と Stiletto にシングルのある西海岸のシンガー、強烈なものはないが、テンダーなバラードで悪くない、73 年に Johnny Otis の元で 2 曲録音したうちの 1 曲、もう 1 曲もMasterpieces Of Modern Soul Vol.4 (KENTCDKEND 437) に収録済み。⑳ The San Francisco TKOs は Fred Hughes (Wand 1182) の甘辛カバー。㉑ Bobby Moore & Rhythm Aces は 71 年の FAME 録音、意外やムーディー、リード・シンガーの優しく真摯な歌いっぷりに惹かれます。㉔ The Mad Lads は 65 年のデモ録音、ちょっと懐かしい感じでドゥーワップ・バラードっぽいかな。
あえてノーザン臭いナンバーを外しているせいか、KENT のこの手の企画は日本人好みの選曲、これが気にいったら、In Perfect Harmony – Sweet Soul Groups 1968-77 (CDKEND 219)、More Perfect Harmony – Sweet Soul Groups 1967-1975 (CDKEND 252)、Soul In Harmony – Vocal Groups 1965-1977 (CDKEND 409) もお薦め。
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Brothers Of Soul / You Better Believe It (Boo 111) 1969
楽 SOUL 117p、316p 参照。U-Tube に、Come On Back (Boo 1005) と The Love I Found You (Boo 1005) を歌っている映像がアップされています。メンバー 3 人がどのパートを歌っているのか分かって楽しいですよ。

The Del-Rios について、楽 SOUL の補足をしておきます。最初のレコードと思われる 56 年のAlone On A Rainy Night / Lizzie (Meteor 5038) は The Complete Meteor Blues, R&B & Gospel Recordings (ACE CDCH2 1090) に収録。ウィリアム・ベルがリードのバラードとダンスもの、ドゥーワップではなくブルース・マナーで、私はかなり好き。59 年リリースの 2 枚目 Heavenly Angel / Dangerous Lover (Bet T 7001) はアーリー・ソウルと言えないこともなく、長年の探求盤、オークションで一度見かけたきりでかなりのレア盤だ。CD イシューされていないと思われるが、Heavenly Angel は U-Tube で聴けます。

ちょっと遅ればせな情報を 2 つ。
JAMES BROWN のドキュメンタリー映画が 6 月 18 日公開。
MR. DYNAMITE : THE RISE OF JAMES BROWN
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なんと DON BRYANT が来日、5 月 23 日と 24 日、TOKYO BILLBOARD にて公演。

12 don bryant japan
21:32:45 | もっと楽ソウル | コメント(0) | page top↑
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