名画座とドン・ブライアント
2016 / 05 / 28 ( Sat )
古い日本映画が大好き、今日は私の行きつけの映画館を紹介したい。
映画は本来大きなスクリーンで観るべきもの、DVD となっていない面白い作品がたくさんあるし、興味のある方、たまには映画館にも足を運んでみたらどうでしょう、昼食代程度の負担で楽しめますよ。
料金、マップ、上映予定等は各館のホーム・ページ等で確認ください。

① ラピュタ阿佐ヶ谷 (東京都杉並区阿佐ヶ谷北 2-12-21)

01 laputa asagaya oizumi
4 月 10 日 ~ 6 月 11 日 「東映現代劇の潮流Ⅱ」

昭和の日本映画が中心、B 級作品が多く、「これぞ名画座」 といった感じ、私のニーズに最もマッチしている映画館だ。1 本立て上映、席数が 50 とキャパシティーが小さい。よって、まれに開始ぎりぎりに行くと満員で入れないことも。待合室 (喫茶もできます) がゆったりとしていて清潔、アット・ホームな感じで気持が良い、学生さんなのか、スタッフの方々も対応が丁寧です。
― ここで観たお気に入り -
「悪の階段」 1965 年、東宝、鈴木英夫監督
山崎努、団令子、西村晃出演。知られざる傑作スリラー。邦画で、これほどフィルム・ノワールという言葉がしっくりする作品ってないんじゃないかな。7 月 3 日、池袋新文芸坐にて再上演予定、ダークなクライムものが好きな方、観逃すべからず。
「二匹の牝犬」 1964 年、東映、渡辺祐介監督
毒がいっぱいの悪女もの、スタイル抜群で妖艶な小川真由美さん、ヴァンプぶりでは真由美様を圧倒する緑魔子様の存在感もはんぱじゃない。続くお 2 人主演の 「悪女」 も必見だ。
「鶴八鶴次郎」 1938 年、東宝、成瀬巳喜男監督
成瀬監督作品ではマイ・ベスト、これまで見た日本映画の中でも五本の指に入る。女を撮った成瀬監督だが、これはまさしく男の物語、山田五十鈴も良いが、長谷川一夫がさらに良い。泣ける、男の心細さや優しさをこれほどストレートに感動的に描いた映画を私は観たことがない。
「果しなき欲望」 1958 年、日活、今村昌平監督
渡辺美佐子、西村晃、殿山泰司、小沢昭一、加藤武、この人たちが出てきて、面白くないわけがない、サスペンス・コメディの傑作。監督は人間の欲を描いた喜劇としたかったのでしょう。私はどん底のスリラーとして楽しみました。
「人間に賭けるな」 1964 年、日活、前田満州夫監督
以前本ブログで紹介した 「競輪上人行状記」 の翌年の作品で同じく寺内大吉さん原作。アンチ・ヒロインの渡辺美佐子さん、憑かれた女をやったら天下一品、本作はそんな彼女の代表作だ。
「首」 1968 年、東宝、森谷司郎監督
正木ひろし 「弁護士」 が原作。官憲の横暴と不正に対する怒り、法を犯してまで真相を追い求める主人公の異常な執念に圧倒される。社会派映画でありながら、優れたスリラー映画でもある。昔は、こんな凄い映画があったんだ、小林桂樹と南風洋子の熱演も素晴しい。

② 池袋新文芸坐 (東京都豊島区東池袋 1-43-5 マルハン池袋ビル 3F)

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5 月 16 日 ~ 6 月 2 日 「成瀬巳喜男、静かなる、永遠の輝き」

邦画も洋画も。古い作品が多いが、新しいものも上映されます。基本 2 本立て 1 日上映、266 席、その日見逃すと、次が無いのが少し困るかな。特集、企画が入り乱れ、作品数と作品の幅ということでは全国一の映画館かもしれない。
― ここで観たお気に入り -
「殺し屋人別帳」 1970 年、東宝、石井輝男監督
「網走番外地望郷篇」 を下敷きにしているようだ。一応任侠映画の体裁なれど、やりたい放題です、アクションあり、おセンチなところもあり、ギャグもあり。主役からチョイ役までキャラクターが明確で存分に目立っている。渡瀬恒彦の 「趣味じゃねぇ」 も良いし、「モンマルトルの鉄」 佐藤允さんも不思議、口笛で 「フランシーヌの場合は」 ですよ、サービス精神旺盛で石井監督のセンスにまたまた脱帽。
「イチかバチか」 1963 年、東宝、川島雄三監督
伴淳三郎、ハナ肇、高島忠夫出演、川島監督の遺作。このテーマ、もしかすると、川島監督はチェスタトンの 「ブラウン神父」 や 「詩人と狂人たち」「ポンド氏の逆説」 を愛読していたのかもしれない。うさんくさい地方政治家ハナ肇のキャラクターがとりわけ興味深い。
「おんなの細道 濡れた海峡」 1980 年、にっかつ、武田一成監督
舞台は青森近辺だろうか、小雪舞う冬である。主人公の三上寛はいたって普通な小心純情男、彼が出会う女三人三者三様の生き様と男たちの優しさ。いわゆるロマンポルノ作品とは一味も二味も違う、もう共感しまくり、ジャンル的にパスしている映画ファンにも観てもらいたいちょっと良い映画だ。
「驟雨」 1956 年、東宝、成瀬巳喜男監督
倦怠期にある夫婦をユーモラスに描いている。さりげない面白みがあって大好きな映画。原節子と佐野周二はいつも噛み合っていない、仲が悪いのかと言うと、そういう噛み合ってないところにお互いが突っ込みを入れることで楽しんでいる風でもある。ケンカをするでもないし、かといって和気あいあいというシーンも無い。旦那が会社をリストラされるなんて、深刻な状況のはずなのに、2 人に暗さは全くない。物語の最初、原の 「お話というのはあるものじゃなくて、するものよ」 という言葉が印象的、最後の紙風船を 2 人でつつき合うシーンも秀逸だ。

③ 神保町シアター (東京都千代田区神田神保町 1-23)

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5 月 7 日 ~ 6 月 17 日 「ゴジラ映画総進撃」 (シリーズ全 29 作一挙公開)

古本屋街にあります。2 階が吉本興業の神保町花月です。基本的に古い邦画、席数は 99、席もゆったり、勾配もとってあって、どの席でも画面が見やすいのが良い。4 館の中では唯一会員制がありません。
― ここで観たお気に入り -
「恋の画集」 1961 年、松竹、野村芳太郎監督
桑野みゆき、川津祐介主演。佐野洋原作のユーモア・ミステリ。どうしようもなくこんがらがって、最後は全員集合、そこからのドタバタした辻褄合わせが最高に面白い。弁護士役の加藤嘉さん、おとぼけでがめつくて図々しくて、参りました。
「裸女と拳銃」 1957 年、日活、鈴木清太郎(清順)監督
私が観た日活アクションものでは最も古い作品。アメリカのハードボイルド映画や小説が上手く消化されている。巻き込まれ型で最初はマッギヴァーン風、真相へのアプローチや船上でのクライマックスなどは、ハメットやチャンドラーの正統ハードボイルドの雰囲気。探偵役の昔の二枚目水島道太郎も悪くない。さらに、謎の女白木マリ(後の中村主水の妻)さんが驚くほど魅力的、個性的な容貌でスタイルも日本人離れ、下着姿のシーンがあってドキッとしますよ。

④ シネマヴェーラ渋谷 (東京都渋谷区円山町 1-5 KINOHAUS 4F)

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5 月 21 日 ~ 6 月 17 日 「シネマヴェーラ渋谷と愉快な仲間たち」
斎藤工、柄本佑、小西康陽、松江哲明セレクション

邦画も洋画も、6 対 4 くらいかな。基本的に 2 本立て上映、会員だと 1,000 円なので、1 本 500 円は一番安い。席数は 142 席、かなりマイナーな作品やインディペンデントなものも上映、意外な出会いがある映画館だ。
― ここで観たお気に入り -
「河口」 1961 年、松竹、中村登監督
井上靖原作は相性が悪いのだが、これは別。岡田茉莉子さんは貧困ゆえに金持の妾になるが、女画商として自立の道を歩み始める。彼女をサポートするのが、美術オタクの山村聰さんだ。演出、演技が素晴しい、岡田さんの女心が手にとるように分かります。ちょっと微妙な山村さんとのコンビも笑えて、やけくそなラストはけっこうインパクトあり。7 月 10 ~ 16 日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて再上映予定。
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「アタラント号」 1934 年、フランス、ジャン・ヴィゴ監督
公開当時、配給会社により 24 分も短縮、タイトルも当時のヒット曲 「流れゆく艀」 に変更されるという憂き目にあうが、1990 年、オリジナルのフィルムが見つかったことにより、カンヌ映画祭で復元公開、絶賛された作品。セーヌ川を行き来する艀船が舞台、愛し合う若い男女のすれ違いとハッピーエンド、テーマに深みはないが、描き方が素晴しくチャーミング。80 年以上も前の映画というのが信じられない。美しくみずみずしく、楽しく、ちょっと不思議、官能的でもある、映画でしか味わえない感動に満ち満ちた作品。これに胸キュンしていては、隠れロマンチストであることがバレバレでちょっと恥ずかしい、バケツの中に頭を突っ込んだりはしないけど、好きなんですね。他愛も無いとおっしゃる方も、ミシェル・シモン演ずるジュール爺さんの不思議には驚くはず。それから、ストーリーとは関係なく子猫がうじゃうじゃ出てきます、これがなんとも可愛らしい、よって猫好きの方にもお薦め。
06 mesuichiba
「(秘)色情めす市場」 (マルヒシキジョウメスイチバ) 1974 年、日活、田中登監督
芹明香主演の日活ロマンポルノ。ドキュメンタリー的なモノクロ映像 (一部カラー映像が入るが)、暑くジリジリする釜ヶ崎、タイトルには意味が無い、セックス・シーンも多いが、性的興奮を感じる人はほとんどいないはず。生々しい街の姿と主人公の生き様に圧倒される。この作品、いわゆるカルト映画で熱狂的ファンも多い。私にはこれまでの経験や価値観では対処できないところもあって戸惑う場面も、ただ、観ておいて良かったのは間違いない。19 歳の娼婦トメ、「うちなぁ、なんか逆らいたいや」 と言いながら全てを受け入れる。彼女は逃げない、頑固なまで自己を通し生き抜くことに貪欲だ。作品賞は無理だが、オールタイムの主演女優賞なら、本作の芹明香に 1 票投じたくなった。

SOUL についても書いておかなきゃね。
Don Bryant の 23 日のファースト・ステージを観ました。
登場の瞬間、イメージしていた姿や顔と違っていて、最初はアナザー・ドン・ブライアントかと心配に。小柄で陽気なおじいちゃんといった風でした。声は間違いなかったので、一安心。
40 分くらいで短かったし、バックもホーン無しでしたが、元気いっぱい気合十分の歌いっぷりで素晴しかった。「アイル・ゴー・クレイジー」 には涙もちょちょ切れ大感激、ベスト・パフォーマンスは 「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」 かな、圧巻、これはマジに凄かった。わざわざ日本までやって来てくださったドン・ブライアントさんに感謝、良いものを観させていただきました。
プレイ・リストは次のとおり
Try Me
Looking Good
I Can’t Stand The Rain
Nickel And A Nail
Everything’s Gonna Be Alright
I’ll Go Crazy
Well Alright
Dixie Chicken
2 日目も曲目は同一だったようです。欲を言えば、もう少し HI の曲をやってほしかった。
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