楽CD  THE XL AND SOUNDS OF MEMPHIS STORY VOL.2 (UK Kent)
2008 / 09 / 08 ( Mon )

PLAY THE GAME: THE XL AND SOUNDS OF MEMPHIS STORY VOL.2 (UK Kent CDKEND 298)
1. All In My Mind / George Jackson # 2. Play The Game / Vision (Sounds Of Memphis 715) 3. Got To Get Home / Art Jerry Miller # 4. Gotta Move On To My Destiny / The Ovations (Chess 2166) 5. Today, Tomorrow And You / Everyday People # 6. Natural Reaction / The Minits # 7. Is It Love / William Bollinger # 8. You Don't Love Me / Barbara Brown (XL no number) 9. #1 / Charlie's Children [inst] # 10. Stepping Stone / The Minits # 11. She’s Not Mama's Little Girl Anymore / Lou Roberts (Sounds Of Memphis 704) 12. Take Time To Love Your Woman / Spencer Wiggins (Sounds Of Memphis 715) 13. Little Man / The Ovations # 14. I Don't Need You No More / George Jackson (ER Music 101) 15. So Much Love To This / The Sweeteens # 16. Teardrops / William Bollinger # 17. Try My Love / Carroll Lloyd (Tower 379) 18. I Love You / Richard & Walter # 19. Doorsteps To Sorrow / Rudolph Taylor (Roman 311) 20. Nothing But The Truth / Ann Hodge (XL 358) 21. Take A Look At Yourself / The Minits (Sounds Of Memphis 711) 22. I’ll Love Only You / Willie Cobbs (Riceland 110)
# unissued 2008 Note : Dean Rudland

待ちに待った XL - Sounds Of Memphis の第 2 集。ディープ・ソウル・ファンなら、もう買っているでしょうね。レアなシングル音源に加え、今回も半数の 11 曲が未発表曲。真っ向正面のサザン・ソウルばかりでなく70 年代の多彩なメンフィス・サウンドが楽しめる内容。このレーベルについては楽本 (p.226) でも漠然とした書き方になってしまったので、収録曲にふれる前に、ライナー・ノーツもたよりに整理をしておきたい。60 年代初頭のメンフィス、音楽ビジネスに興味を持っていた実業家の Gene Lucchesi は Stan Kesler の手を借りて、新レーベルを立ち上げる。ギタリストの Kesler は 50 年代 Sun の Sam Phillips のもとエンジニア及びライターとして働いていたミュージシャン、後に、Chips Moman のアメリカン・スタジオのエンジニアとしても手腕をふるっており、Goldwax の James Carr のセッションにも参加している人物だ。Lucchesi が62年頃にスタートした Pen と 64 年に立ち上げた XL レーベルでは、当初、カントリーやロカビリー、ブルースを手掛けていて、Pen には Bobby Wood や Clarence Nelson のシングルもある。最初に彼らがつかんだ成功は Kesler がプロデュースした Sam The Sham & The Pharoahs の Wooly Bully で、XL がプレスしたのはプロモ用の 500 枚、これに興味を示した MGM から全国発売され 65 年にヒットしている。おかげで事業も軌道に乗り、Stax や HI、Goldwax の台頭に呼応するかたちで、扱う音楽もソウルに移行していく。以降の XL - Sounds Of Memphis の活動は次の 4 つの時期でみると分かりやすいだろう。
① 66 から 68 年前半、Charles Chalmers がプロデュースに携わり、サザン・ソウルの名盤を残している。Stan Kesler が面倒を見ていたアメリカン・スタジオのバンド、Gene Chrisman (drums)、Bobby Wood (piano)、Reggie Young (guitar)、Tommy Cogbill (bass)、Bobby Emmons (keyboad) がバックをつとめており、サウンドのクオリティーも高い。Barbara & The Browns 等地元のタレントをスカウト、メジャーからの買い上げを狙ったシングル・リリースが中心だったようだ。
② 68 年暮に Sounds Of Memphis スタジオが開業。この時、Charles Chalmers はLucchesi のもとを去っている。Kesler が集めた新バンドは、Charlie Freeman (guitar)、Jim Dickinson (piano)、Sammy Creason (drums)、Mike Utley (organ)、Tommy McLure (bass) という布陣だった。Imperial の Albert Collins、SSS Inter の Bettye LaVette 等の録音が行われたが、XL からのシングル・リリースはほとんどなかったようだ。このハウス・バンドが Atlantic の Jerry Wexler に引き抜かれ (Henry Stone の Criteria スタジオで The Dixie Flyers として名をはせる)、嫌気がさした Stan Kesler はスタジオ運営から退いている。
③ 71 年、Gene Lucchesi は Chalmers と Kesler が抜けた後の停滞を打破すべく MGM と提携、新レーベル Sounds Of Memphis をスタートさせる。制作責任者として Dan Greer と契約、Greer は Goldwax で手掛けた The Ovations や Spencer Wiggins を新たに迎え、The Ovations の制作スタッフには盟友 George Jackson も加わっている。質量ともに最も充実していた時期で、オヴェイションズはセールス面でも大きな成果を挙げることになる。
④ 73 年、MGM との提携契約が解消され、レーベルとしての Sounds Of Memphis の活動はストップしてしまう。George Jackson はスタジオに残るが、Dan Greer は去り、その運営は Eddie Ray という人物に移る。レコーディングは行うものの、そのほとんどが MGM や Chess からのリリースとなり、販売力を失った XL が単発的にシングルを出してもヒットを生むことはなかった。徐々に Sounds Of Memphis スタジオの活動は細っていき、80 年代に入ったところでほぼ停止している。
収録曲の順番とは相違するが、この流れに沿って、収録曲を聴いてみよう。① の時期、Charles Chalmers が制作したものが William Bollinger、Carrol Lloyd、Richard & Walter、Rudolph Taylor、Ann Hodge、いずれも 67 年頃の作品だ。Rudolph Taylor の Doorsteps To Sorrow は前集に収められていた Tell Him Tonight のフリップ・サイド。Chalmers のレーベル Roman からのリリース、ピュアなサザン・バラードで、悲しみ色に染まった歌声に涙である。Let Them Talk に似た雰囲気の Try My Love を歌っている Carroll Lloyd、楽ソウル (p.81) では Barbara Brown と競作になった A Great Big Thing (Tower 411) の方を誉めてしまったが、こちらのバラードでもしみじみ泣ける。Ann Hodge の Nothing But The Truth はテンポの良いダンス・ナンバー、ヴォーカルにもう少し迫力があったら、もっと乗れるのだが。他は未発表曲。第1集で驚かされた謎のデュオ Richard & Water の I Love You、バッキングも良く気分満点のサザン・バラード、このお二人、2 曲しか聴けないのが残念でしょうがない。William Bollinger はシカゴからやってきたシンガー、非力なヴォーカルながら、Is It Love ではかっこいいメンフィス・リズムが楽しめ、Teardrops では風情のあるメンフィス・バラッドで酔わせてくれる。② はパスして ③ の時期、Dan Greer のプロデュースによるものが Vision、The Minits、Barbara & The Browns、Lou Roberts、Spencer Wiggins。前集では甘くチャーミングなバラード Let The Moment Last でスウィート・ファンを騒然とさせた Vision だが、そのウラとなる Play The Game はつかみどころがなくて、私にはピンと来ない曲。女性3人グループ The Minits は 3 曲、うち 2 曲が未発表のもの。いずれもリズム・ナンバー、Still A Part Of Me のようなモダンなものを期待してしまったが、歯切れの良くポップなファンキー・ナンバー Natural Reaction がまあまあかな。個人的にとても気になっている彼女たち、お蔵入りになっているバラードがあれば、是非とも聴いてみたい。Barbara & The Browns の You Don't Love Me は Willie Cobbs の曲、61 年の Vee Jay 盤がオリジナル、多くのミュージシャンに歌われている R&B のスタンダードだ。Lou Roberts は初めてお顔を拝見して白人だと知った。UK で人気のあるフリップ・サイドよりも今回収録された She’s Not Mama's Little Girl Anymore の方が私は好き。優しく吹き抜ける南部の風にあたっているような爽やかなダンサー、まさしく Dan Greer サウンドここにありといったところ。さらに素晴しいのが続いて流れてくる Spencer Wiggins の Take Time To Love Your Woman だ。傑作ディープ・バラード I Can’t Be Satisfied のフリップ、メロディックなサザン・アップ、歌うことの悦びがこぼれんばかり。73 年という時期にこんなソウルフルに躍動する曲に出会えるなんて、ソウルの神様に感謝したい気持ちになる。次の ④ の時期となるのが George Jackson と The Ovations。ただし、冒頭1曲目の All In My Mind を歌っているのは George Jackson ではないでしょう。声の質も歌いまわしもちょっと違う。メローでモダンなステッパー、悪くはないが、曲もあまりこの人らしくない。目玉はこれにあらず、14 曲目の I Don't Need You No More ですぞ。77 年に ER Music から発売されたシングル盤、前集に収録されなかったサイドでこちらの方がより素晴しい出来ばえ。Sounds Of Memphis スタジオの Eddie Ray がリリースしたもので ER は彼のイニシャル、とりあえずプロモーション用として僅かな枚数がプレスされただけで原盤はとてつもなく珍しい、多分永遠のマイ・ウォンツ。しっとりとした George Jackson 節が堪能できるサザン・バラード。曲調は懐かしの 60 年代、シンプルなバッキングが実に効果的、静謐の中に魂のこもった純な歌声がこだまする。心の襞を撫でるようなピアノの音色にも泣けて泣けて、これほど繊細で心を打つ曲ってそうはないんじゃないかな。勿論、Deep Soul Inferno (Goldmine、楽p.216) よりも音が良い、ちゃんと権利を取っているからね。すっかり興奮してしまいました、The Ovations の 2 曲に移りましょう。はっきり言って 75 年の Chess のシングルよりも未発表の Little Man の方が聴きもの。録音はいつだろうか、確証は無いがクオリティーの高さから、Dan Greer & George Jackson が制作した 73 年以前の作品と推測する。The Ovations については、Sounds Of Memphis 音源の単独 CD “ One In A Million “ (UK Kent CDKEND 294) もリリースされ、そこでも新たに 6 曲が聴けたが、間違いなくこれが The Ovations の未発表ベスト。酸いも甘い噛み分けた Louis Williams のヴォーカルが説得力を持って響いてくる、I’m a southern soul man といった風格さえ感じられるうるおいのあるバラード、これも感動ものだ。残るは 5 曲、まず、謎の Everyday People と The Sweeteens。カヴァー・ジャケットになっている Everyday People、グループというよりバンドのようだ。70 年代前半の録音と思われるミディアムToday, Tomorrow And You、リード・シンガーの歌いっぷりも良く、勢いと若さが感じられ好感が持てる。前集にも収録されていた The Sweeteens は女性のソロでグループではありません。いかにも南部の女といったお声、70 年中頃の録音だろうか。Charlie’s Children はインスト。Art Jerry Miller は Willie Mitchell のバンドともプレイしていたキーボード奏者で、Stax 傘下の Enterprise に LP がある。意外なことに収録曲は甘いソウル・ナンバー。You Don't Love Me の Willie Cobbs はシカゴの人だが、ラストに収められた I’ll Love Only You は SOM の録音なのだろうか、69 年 Cobbs 自身のレーベル Riceland からリリースされたファンキーなブルース・ナンバーだ。以上、いつものことながら話が長くなってしまった。この素晴しいコンピレーション、あえて文句を言うなら、曲の並びが悪い。10 曲目まではちょっと物足りなくて、どうしちゃったのかという感じだった。期待していた Spencer Wiggins の未発表が無かったのもがっかりしたが、これは第 3 集以降のお楽しみということにしておきましょう。UK Kentに対しては期待も大きく、どうしても欲張りになってしまう、文句を言ってはいけないね。ディープ・ソウル・ファンなら、13 曲目と 14 曲目だけでも充分にお釣りが来ます。
xl som
Kent の関連レーベル BGP から Memphis 70 - The city's and soul in the decade after Otis 1968-1978 (UK BGP CDBGPD 192) という CD コンピレーションが本年 2 月に発売されている。Sounds Of Memphis関連は、Willie Walker、The Minits、Art Jerry Miller、The Ovations、Alvin Cash、Barbara & The Browns、Kannon、Billy Cee & Freedom Express、The Optimistics の計 9 曲で 5 曲が未発表曲。ほとんどファンクものなので誰にでもお薦めというわけにはいかないが、モダンなステッパー Two Paces Ahead Of Love での Willie Walker の歌いっぷりには有無を言わせないものがあるし、Art Jerry Miller と The Minits の珍しいカラー写真も拝める。それにしても、Goldwax の Willie Walker も SOM で録音していたとは驚いた。

18:53:11 | もっと楽ソウル | コメント(1) | page top↑
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コメント
--はじめまして--

お初です!
待望の第2集ですね~ 1集も大感動でしたので、これも早く入手します!もっといえば、80年代のP-Vineみたいに日本主導でバリバリのコンピ連発して欲しいです~
by: ezee * 2008/09/09 18:45 * URL [ 編集] | page top↑
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