楽CD  J&S HARLEM SOUL (KENT)
2008 / 11 / 17 ( Mon )
J&S HARLEM SOUL (UK KENT CDKEND 306)
1. She Said I'd Be A Failure / Clarence Ashe (J&S 8719) 2. I Pray To Keep Our Love Strong / Johnnie & Joe (J&S 28788) 3. Life Of Love / Freeman Brothers (Sprout 425) 4. Say You Love Me / The Relations (Zell’s 712) 5. The Dream I Had Came True / Dicky & Billy (J&S 16209) 6. I Want To Be Close To You / Jimmy Armstrong & The Pins (Zell’s 1008) 7. The Leaf Is Just Like Me / Catha Morrison (J&S 9910) 8. Money, And All Your Love / Freda Allyne (J&S 4423) 9. It Doesn't Matter / Neice Dezel (J&S 8718) 10. You Haven't Been Like You Should / The Gillettes (J&S 1674) 11. I Won't Ever Try To Change You / Henry Hodge (Zell’s 711) 12. I'll Do It For You / Little Willie (Sprout 1620900) 13. You Needn't Tell Me / Sity & James (Sprout 992) 14. Don't Let Me Down / The Hearts (Zell’s 3378) 15. Be My Boyfriend / The Jaynetts (J&S 16209) 16. Let Your Mind Do The Walking / Johnnie & Joe (J&S 42832) 17. I Got A Feeling / Dicky & Billy (J&S 16209) 18. I'm A Working Man Who Needs A Good Woman / Clarence Ashe (J&S 8719) 19. 24 Hours Of The Day / The Gillettes (J&S 1319) 20. Stay Away From My Baby / Taffie Lee (Zell’s 256) 21. Every Night The Same Time / Johnnie Richardson (Sprout 711) 22. Ha Baby, I'm Coming On Back / Lee Pratt (J&S 42833) 23. Dancing In A Dream World / Jimmy & Arthur (J&S 1485) 24. Let Sleeping Dogs Lie / Miss Johnnie (Zell’s 3379) 2008  Notes : Ady Croasdell

誰もが手に取ってしまいそうな可愛いジャケット。マンハッタンの絵地図があしらわれ、黒人街のハーレムが真ん中に黄色く囲われている。このハーレムを拠点として数多くのシングル盤を世に送り出した人物がアラバマ出身の Zelma “Zell” Sanders という黒人女性、本 CD コンピの主人公である。ライナーのいかつい写真を見て、私は男かと思ってしまった。あまりお近付きになりたくないタイプだが、やり手で肝っ玉の据わった方だったのだろう。Baton レーベルの女性グループ The Hearts のマネージャーで、56 年の J&S を皮切りに、Scatt、Dice、Zell’s、Sprout、Omega といったレーベルを立ち上げ、20 年近く音楽ビジネスに携わり、76 年に亡くなられている。彼女が抱えていたタレントでは、男女デュエット Johnnie & Joe (JohnnieはZelmaの娘) や女性グループのThe Hearts、The Clickettes が知られている。Johnnie & Joe の I’ll Be Spinning がシカゴの Chess から配給されヒット、インディーながらもその存在感は大きかった。女性シンガーを精力的に売り出し、ガールズ R&B の代表的レーベルと言っても良いかもしれない。初期の制作スタッフには Rex Garvin の名前もあり、The Hearts には一時期 Baby Washington も参加している。Zelma Sanders 関連の CD コレクションは既に 4 枚リリースされており、Johnnie & Joe / I’ll Be Spinning : The J&S Recordings (ACE CDCHD 1138)、The J&S Years by Baby Washington & the Hearts (ACE CDCHD 1089)、The Clickettes Meet The Fashions (UK ACE CDCHD 1095)、J&S Zell’s Baton And Dice Recordings 1955-1970 (ACE CDCHD116) で主なシングルについては聴くことができる。さて、本題のこのコンピレーション、1 曲だけ 73 年の作品があるが、他は全て 62 から 70 年に J&S、Zell’s、Sprout からリリースされたシングルが収められている。NY では Scepter、Big Top、Musicor、Bobby Robinson の Fire や Fury、Hy Weiss の Old Town に比べると陰が薄くなってしまった頃のもので、Zelma の黄金期以降の作品集となる。でも、シングル音源を聴いている方ならご承知のとおり、商業的成功とクオリティーは必ずしも一致するものではない。過去の流れでポップなものもあるが、ディープでソウルフルな楽曲が多い。これまであまり注目されてこなかったレーベル、珍しいものもあって、私にとっては貴重でありがたい企画。主に 60 年代中頃の作品、古いのは苦手という方でなければ、十二分に楽しめるコンピレーションではないかな。それでは、楽本で取りあげたシングル、シンガーから紹介していこう。まず1 曲目、Clarence Ash の She Said I'd Be A Failure、楽ソウル (p.8) で取りあげた彼のベスト・シングル。ライナーによれば、この人、アラバマのシンガーのようだ。3 曲目、Johnny と Jerry の Freeman Brothers (楽p.179)、Sprout の Life Of Love は楽ソウルでは無視して良いシングルと口が滑ってしまったが、You Got Me On A String (International Allied 501) のようなディープ・ソウルを期待してはいけないということなので、そこのところよろしく。The Relations は Jackie & The Umpires や The Relatives の名前でもシングルのある私の大好きな NY のローカル・グループ。収録曲は楽ソウル (楽p.190) でも推奨のドゥーワップ調のダンシング・バラッド、辛いヴォーカルに涙です。Dicky & Billy の The Dream I Had Came True (楽p.161) もディープ・ファンなら文句なし、フリップの I Got A Feeling もちゃんと収録されているのが嬉しいね。この 2 人、正体が気になっていたが、ライナーでも明らかにされていない。レーベルに名前のある Melvin Ragin は Wah Wah Watson の本名で、モータウンのバック・ミュージシャンとしても活躍しているギタリスト。Jimmy Armstrong の I Want To Be Close To You は再発の Stop 盤が出回っているが、オリジナルの良い音で聴くことができる。ソウル・ファンには人気が薄い J&S の看板 Johnnie & Joe は 68 年の I Pray To Keep Our Love Strong と Let Your Mind Do The Walking の 2 曲が収録されている。前者はロマンティック、Marvin Gaye & Tammi Terrell の NY 版といった風情。後者は Rex Garvin が制作した重量感のあるミディアム・ナンバーだ。The Jaynetts は Sally Go Round The Roses のヒットもある、メンバーの入れ替わりが激しく、Be My Boyfriend では Johnnie & Joe の Johnnie Richardson がリードをとっている。制作は Dicky & Billy と同じく Melvin Ragin & Toussaint Thompson、ホーン・アレンジが面白いガールズ・ノーザンの佳曲である。Johnnie については、ソロでも 2 曲聴ける。Every Night The Same Time は軽快なダンサー。それよりもラストに収められた Miss Johnnie 名義のバラード Let Sleeping Dogs Lie の方が好き、あまり歌える女性ではないが、健気さがけっこう沁みる。残る曲は初めて聴くものばかりだ。73 年作の Catha Morrison はライナーに Doris Duke の To The Other woman を思い起こさせるとある。Freda Allyne の R&B ダンサー Money, And All Your Love はヴォーカルよりもバッキングが目立っているね。ワン・シングルのみの無名の女性ばかりだが、Neice Dezel には Rita Zell の名前でもシングルもある。It Doesn’t Matter はぬるいテンポのダンサー、粘っこいヴォーカルが堪らない。お安いシングルのよう、見つけたら買わなくちゃ。男性グループ The Gillettes の You Haven't Been Like You Should がさらに良い、でもこちらは珍しそう。65年の作で Horace Ott のアレンジメントが光るテンダーなミディアム・ナンバー、ヴォーカル・グループのメッカであったハーレムの伝統に則ったような品のある曲。このグループのもう 1 枚 The Same Identical Thing (J&S 1391) も Northern Soul’s Classiest Rarities 3 (Kent CDKEND 295) で聴けます。Henry Hodge は勇ましくて Chuck Jackson タイプ、女性コーラスをバックに素晴しい歌いっぷりを披露してくれる。続く Little Willie も 1 枚しかシングルの無いオブスキュアなシンガー。I'll Do It For You は 62 年のリリース、いかにも NY のダンス・ナンバーといった感じ、ほのぼのと馴染みのある曲調で、渋い喉に痺れっぱなしだ。これもかなり珍しいブツではないかな。The Jaynetts と同じく The Hearts もメンバーの変遷が複雑、Don’t Let Me Down でリードをとっているのはゴスペル声のシンガーだ。Sity & James は男女のデュエット、R&B 好きのノーザン・ファンならイケるかもしれない。ポップな R&B ダンサーを歌う Taffie Lee はかなり若そう。Freddie Scott の名前がライターにある Lee Pratt は NY スタイルのビート・バラード。そして、このコンピで最もインパクトがあったのが Jimmy & Arthur の Dancing In A Dream World、この曲、Clarence Ash (J&S 13173) も歌っている古めかしい曲調のバラードだが、情感もたっぷりと、ぐっとソウルフルでディープに仕上がっている。このシングル、うかつにも全く見逃していた。気になるソウル・デュオ、ウラの曲も聴いてみたかった。以上、全 24 曲、Zelma Sanders関連のソウル・シングルはほぼ網羅されている。たまにはニュー・ヨークで盛り上がろうではないですか。
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