SOUL 45  EARLY SOUL
2009 / 05 / 06 ( Wed )
アーリー・ソウルが好きだという人って少ないね、ソウル・ミュージックのカテゴリーの中でも、R&B とソウルの間でこぼれ落ち、最も聴かれていないところではないだろうか。シングル盤を熱心にあつめているコレクターもしかりで、ディープ・ソウルやノーザン・ソウル、モダンやスウィートものについては、多くの方々から 「これがいい、あれがいい」 と教えられるところが多いが、この分野は熱心な方がほとんどいなくて、私も暗中模索で買っている。ライヴァルも少なく、知られざる傑作に出会えるんじゃないか、それもお安くとスケベ根性も刺激され、けっこう楽しいのだが、近頃ではなかなか思ったようにいかない。イギリス人の嗜好というのは案外と奥が深くて、私が思うノーザン・ソウルというジャンルからは外れているようなアーリー・ソウルでも、内容の良いシングルは値段が高くなっているからだ。

Mack Starr & The Mellows / Drifting Apart (CUB 9117) – 1962
Mack Starr / Down By The Waterhole (Chene 101) – 1964
端正なテナー、Julius McMichaelという名前で NY のドゥーワップ・グループ The Paragons (Winley) のリード・シンガーだった人。西海岸に移り、65 年には Mirwood の The Olympics のメンバーとなっている。CUB 盤は The Mellows という女性グループをコーラスに配したミディアムの軽いダンスもの。どこかのどかな 50 年代の匂いを残した楽曲、この手のものはいくらでもあるんじゃないと言われそうだが、汗臭い歌い回しもあって、かなり出来は良い。なお、CUB は Ray Pollard の The Wanderers のシングルでも知られている MGM の系列レーベル、Wilson Pickett の My Heart Belongs To You (Cub 9113) や Linda Jones のデビュー・シングル Linda Lane / Lonely Teardrops (Cub 9124) なんかもリリースされている。お次の Chene 盤はカリフォルニア産、二代目 Bob & Earl の Bob Relf & Earl Nelson と Fred Smith がプロデュース、アレンジャーには Gene Page の名前もある。これは、ノーザン・ソウルとしても人気のアップ・ビート・ナンバー。歌謡ソウルって感じの曲調は好き嫌いが分かれるところかもしれない。とにかく破れかぶれって感じの荒っぽい歌いっぷりが最高、面白くないことがあったらターン・テーブルに、憂さも晴れ晴れ、スカッとした気分にさせてくれる。
early 2
James Washington Lee / I Need Somebody (L&M 1003) - 1962
The Vowels / It’s Alright (Lebam 156)
一見関係なさそうにみえる 2 枚のシングル、そのこころは? 実は歌っているのが Morris Chestnut (楽本p.28、p.333) なのですね。あの独特のしゃくりあげるような声、ライターに名前もあるし、間違いなし。L&M 盤の方が音は古そう、62 年としたが、あまり根拠が無い。甘く切なくやるせないと言ったら、安っぽく聞こえてしまうだろうか、しっとりと優しく涙腺を刺激してくれる。この曲はドゥーワップ・バラードとして人気があるようで、リプロのシングル盤もリリースされている。どうして、こんな名前で出ているんでしょうか、謎です。Vowels の方はゆったりとテンポのあるバラードで、アーリー・ソウルの階段に足をかけたような感じかな、ぐっと来るものがあって大好きな曲。これは手に入りやすいのだが、Jeff Beckman の本によると Your Lovin’ Kisses (Lebam 157) というシングルもあるよう。なお、Morris Chestnut は The Vows というグループにも参加、65 年にリリースされた Tell Me (VIP 25016) は西海岸のモータウン・ライター Marc Gordon & Frank Wilson が書いたチャームなダンス・ナンバー、艶やかなヴォーカルに眩暈がしそう。フリップの Buttered Popcorn は The Supremes が 61 年に Tamla から出した曲のカヴァー、リードはモーリスとは別のシンガーだ。Vows には 62 年に I Wanna Chance / Have You Heard (Markay 103) というシングルもあり、両面、女性の Helen Simpson がリードで歌っている。レヴュー前に偉そうなことを書いてしまったが、James Washington Lee については、西荻のブロー・フライを名乗っておられた先輩コレクターから教えていただいたもの、いつもありがとうございます。
early 1
The Souveniers / It’s Too Bad (Inferno 2001) - 1962
今日の真打登場してもらいましょう。Inferno は The Volumes のシングルがあるデトロイトのレーベルにあらず。LA のドゥーワップ・グループで The Souvenirs というのがあるが、多分、そちらとも無関係であろう。いろいろと調べてみても、情報が無いシングル、もしかすると白人グループかもしれない。でも、私にはそんなことは全く問題なし。素晴しいアーリー・バラード、泣かせどころがちりばめられたメロディー・ラインが胸にじんわり、リード・シンガーは若そう、ちょっと青くさいところがセンチメンタルな気分を後押しする。With the Larry Lucie Orch とあり、情緒のあるバッキングもよろしいね、ギターなのかな、音色の良い弦の音にも涙である。
Douglas Banks / Ain’t That Just Like A Woman (Guyden 2082) - 1963
フィラデルフィアのアーリー・レア・ノーザン、日本のソウル・ファンにはアピールしないタイプかもしれないな。このレーベルらしく女性コーラスもロリポップでメロディーも甘ったるい。歌っているお方が、これに不釣り合いなビッグ・ヴォイスというところが、この曲の面白いところで、ヴォーカルの突き抜け感が堪らない。ここまであっけらかんと豪快にやられては、参りましたというしかありません。この人、シングルはたった 1 枚きり。フリップ・サイドではまともな歌い方をしているので、どちらが本来の姿なのでしょうか。
* The Northern Side of Philly Soul (JAMIE4019) に収録。
early 3
The Rockmasters / Raining Teardrops (Romulus 3003) – 1963
これはミニコミで紹介済、大好きで、何回聴いたことか。ヴァージニアのグループでリードは Joe Webster というシンガー。まずはタイトルがいいじゃないか、正しく清くアーリー・バラッドの大傑作。イントロのたるんだギターとドゥーワップの香りもそこはかなコーラス、ディープで辛いリードと甘酸っぱいメロディーが絶妙にからんで、ラストまで。淋しき身の上には毒かも、毎度のことながらため息が出ます。なお、Noah Biggs の Shiptown から Since You’ve Been Gone (Shiptown 009、Scepter 12204) というシングルを発表している The Anglos も Joe Webster のグループで、そちらはファスト・ノーザンの秀作だ。
* Northern Soul’s Classiest Rarities (Kent KEND 192) に収録。
Pearlettes / Duchess Of Earl (Vee Jay 435) – 1962
女性グループによる Gene Chandler のヒット Duke Of Earl のアンサー・ソングで、メロディーはいっしょ。歯切れ良く、シャンテルズを彷彿させるディープな歌いっぷり。ネットで調べていたら、これ、まさかですが、ストックホルムで結成されたスウェーデンの白人女性グループなんですね。いやはや、驚きました。
* The Answer to Everything : Girl Answer Songs Of The 60's (Ace CDCHD 1166) に収録。
early 4
【告知】 60 年代初頭にリリースされたソウルフルでディープな音盤にもっと注目してもらいたく、アーリー・ソウルのレコ・コンを企画しております。時期は夏ごろになるかな、DJ 等でご協力いただける方がいらっしゃいましたら、私あて (楽本末尾のメール・アドレス) までご連絡ください。
16:29:03 | SOUL 45 | コメント(2) | page top↑
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コメント
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Mack Starrの「Down By The Waterhole」は、Clay Hammondの「Dance Little Girl (Keymen/Duo Disc)」と同じトラックを使用していますよね。 Mackの方が64年ということならば、Mackの方がオリジナルなんでしょうね。。
by: Naoya * 2009/05/10 23:00 * URL [ 編集] | page top↑
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まったく気がつきませんでした。同じ曲ですね。KEYMENはリリースが67年のようですが、もっと録音は古いのかも。
新生活はいかがですか。
今後ともよろしくお願いいたします。
by: sano * 2009/05/13 00:13 * URL [ 編集] | page top↑
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